学校では教えてくれないサッカー栄養学 世界で闘うための選手の食事【前編】

2014年01月11日

コラム

日の丸をつけて走る日本代表選手たち――。そのスタミナを維持するために、どのような栄養補給をしているでしょうか? 強いカラダを作るためには、少年期からどのような食事と向き合っていく必要があるのでしょうか? 日韓ワールドカップのトルシエジャパンで日本代表チームに栄養指導し、スポーツ栄養学の第一人者である杉浦克己先生に、サッカー栄養学について伺いました。

文●戸塚美奈 写真●フットボールチャンネル編集部

※『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.27冬号』P116-121より転載


トルシエジャパン強さの秘密は中・高時代の栄養指導にあり!

──杉浦先生が栄養指導されたトルシエジャパンは、16強という好成績を残した強いチームでした。選手たちの食事、栄養状態はどうだったのでしょうか?

 トルシエジャパンの選手たちは、栄養面は非常によかったと思います。というのは、主力選手のほとんどが中学・高校時代から私が以前勤めていた明治製菓の栄養士によって指導を受けてきた世代だったのです。

 そこからA代表に上がってきた選手たちに中田英寿、宮本恒靖、戸田和幸、松田直樹、その下に、稲本潤一、小野伸二、高原直泰、小笠原満男がいました。彼らのユース時代には、世界選手権に行くときも栄養士がついていき、どこに遠征しても必要な栄養素を摂れるよう、訓練していました。だから、彼らは食事面がものすごくしっかりしていたんですね。

 とにかくこの世代はみんな、本当によく食べました。中学のときの食事量から、徐々に指導する中で増え、高校になってもっと食べるようになって、代表になってまた増えてと、食べる量がどんどん増えていきましたから。なので、選手の食事のことではほとんど苦労はなかったですね。

──トルシエ監督とのやり取りでは、なにかご苦労がありましたか?

 緊張しましたよ。トルシエ監督は栄養に詳しく、食堂で目を光らせ、すべての食事をくまなくチェックしていました。

 あるとき、選手が「キムチが食べたい」と言ったんです。ところがトルシエ監督は漬物が大嫌い。「塩分が多すぎる。漬物なんて意味がない! これはどけろ!!」なんて言う。それで「日本人は漬物があればご飯がたくさん食べられるんです」「これは、乳酸発酵です。あなたの好きなヨーグルトと同じですよ!」と、通訳のダバディ氏と一緒に必死で説得してわかってもらったりしたこともありました。

 また、トルシエ監督はヨーロッパ流の質実剛健の考え方で、「日本の食事は豪華すぎる! 品数も多すぎる!!」といつも言っていました。好き嫌いでの特別注文のようなものも許さなかったので、ネギが嫌いな選手のために、ネギを入れない味噌汁のお椀をトルシエ監督に見つからないように、こっそり用意したりもしてました。

 その後、代表監督となったジーコも食事を重要視していましたが、180度やり方が違いましたね。完全にプロ扱いなんです。朝ご飯も各自で、自己管理です。ジーコ管理と言います(笑)。一方トルシエ監督は就任当初、朝食に起きて来ない選手がいたら、叩き起こして説教をしていたそうです。そういう意味では完全に子ども扱いです。私がチームに帯同した頃にはみんなちゃんと起きて来てましたけれど。

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