育成現場のプロが語る成長期のカラダ対策「ケガに強くなるポイント、教えます」【後編】

2014年02月03日

コラム

ケガに対する正しい知識を身につけよう

 一方で、医学の知識を本人や親、指導者が深めていくことも、大きなケガを防ぐ重要なポイントといえる。

 JFAメディカルセンターで2009年、こんな一件があったという。冬晴れで日差しはあったが気温の低い日、サッカーのトレーニング後に気分の悪くなった少年が運ばれてきた。その子は低血糖状態から、自律神経の変調を起こしたのか、汗をたくさんかいて動けなくなったのだが、指導者や周囲の大人が熱中症と勘違いして体温を下げなければと身体に水をかけ日陰に休ませていたという。

センターに来たときには低体温状態で即座に身体を温め、血糖が上がるように食べ物をとらせた。熱中症については一般的にかなり知られているのだろうが、今回は全く反対の処置であり素人判断の難しさを示す顕著な例といえる。その場にいた中堀さんは「子どもの体調変化で怪しいと思ったらとにかく休ませ、経過を見てほしい。様態の判断に困ったら病院受診を」とアドバイスしていた。

 中途半端な対応をとらないためにも、きちんとした知識をもつことがやはり不可欠なのだ。加藤ドクターもこんな話をする。

「このケースは少し残念な例ですが、親御さんや指導者が医学の知識に関心をもつのは大事なこと。優れた選手を育てるためにケガは避けて通れない。勉強するのはいいことです。

 特にコーチの方には高い意識をもっていただきたい。JFAのセミナーや指導者講習で知識を得る機会がありますから、サッカーの外傷・傷害や子ども特有のケガや病気などについて理解を深めてほしいです。

 長期離脱者が出たときも、ドクターがケガの状態や治療法を詳しく説明するより、指導者が『しっかり治して帰ってこい。待ってるからな』と言葉をかけてあげる方が、よほど子どもは安心するでしょう。若年層の指導者はそんなサポートも大切だと思います」

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