ジュニア年代ドリブル指導論(JSC CHIBA編)―ドリブラー育成のために、ドリブルを教えているわけではない―【前編】

2014年02月19日

コラム

難しい要求の中で成長する

――計算を超えるチームをつくるにはどうすればいいのでしょうか?

 あらゆる点で、裏切りが大事だと思います。こういったことを感じてもらうために、ひとつの方法として(難題な)選択に限定する。例えば縦に行けと。前にDFがいて難しい状況で、あえて縦に行けと。その選択が正しいという意味ではありません。私がいろいろな球(要求)を投げることで、子どもたちの変化に期待するわけです。

 実際のところ、子どもはものすごく困ります。泣きそうになる子もいる。しかしそのときに精神論だけでなく、いろいろなことが鍛えられる。縦に行けない中で何回もトライしているうちに、なぜか成功するときも出てくる。それはただ速かったのか、ずらす工夫をしたのか、よくわからないけど、やっちゃえ、でできたのか。いずれにしても、無茶なことをさせることで、その子の何かが目覚める可能性があります。

――今日(※取材当日)の練習中のファーストタッチについての指導が、難しい要求に該当するのでしょうか。

 そうですね。今日はサイドでボールを持ったある子に、(味方を見つけてパスを出すのではなく)縦にゴールへ向かうように言いました。当然ながらタッチが大きすぎると相手にとられてしまう。それに対して、「あれは判断ミスじゃない。ボールをとられたのは下手だからだ」と伝えます。ファーストタッチがうまければ、次につなげられる。だから違う判断ができるように指導するのではなく、前に持ちだしたときに、ボールを奪われない最高の距離とスピードのノリ方を身につけさせたい。重しを付けて走らせるように、子どもたちにひとつ難しいことを要求し、やらせているわけです。

――セオリーを無視した要求が子どもを成長させるのだと。

 逆に言うとセオリー通りのシザースなんてDFにとっては取りやすいですから。うちはCBの子でもドリブルで持っていかせます。もしも途中でボールを奪われたら全力で走って戻らないとダメ。20メートルの距離を蹴るよりもドリブルする方が当然疲れます。心肺機能も鍛えられて身体能力は上がるし、責任感も身につく。

 理不尽なこともします。ゴールがとれる子どもを左SBに置く。この位置では点がとれないと本人も大人も思ってしまうでしょう。そこで私はこう言います。「なぜ全員抜かないの? 前じゃなかったら点はとれないの? そこにいたら9人抜くだけで1点とれるじゃん」と。型にはまった教え方では、(サッカーにおいて)素直な子しか生まれません。そこから創造性はなかなか生まれにくい。

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