【緊急座談会】子どもがワールドカップを見られなくなる日 幸野健一(サッカーコンサルタント)×植田路生(『フットボールチャンネル』編集長)

2014年05月30日

インタビュー

プレーはするが、試合を見ない子どもたち

植田 こういったケースはJリーグでもあると思うんですよね。例えばですが、地方のJ2クラブの試合が土日のどちらかにあって、子どもたちの大会もぶつかることもあります。そういった部分もこれから改善しなければいけません。

幸野 そのケースはもっと地域に根付かせていかなければいけないんですが、やっぱり根本をいうと子どもたちがサッカーを見ていないということなんですよ。その原因の一つは先ほど言ってくれたことも関わっていると思うんです。でも、それは直接的な原因ではないと感じます。今の子どもたちはテレビでさえ見ない。その要因に民放が放送しなくなったこともありますが、サッカーはプレーするけど、試合を見ないという子が多いんです。

植田 身近にあるプロのプレーを見られないというのはもったいないですし、スタジアムの雰囲気などを感じることもとても大切だと思います。

幸野氏 だからこそ、いかにお客をスタジアムへ来させるかが大事ですし、特に子どもは見ることで、サッカーのトレーニングにつながっていくわけです。それが大切なこと。僕がいつも日本の子どもを見て感じるのは、サッカーへの理解度の乏しさなんです。それはサッカーを見てないことからくる、サッカーというスポーツがどういうものかを理解してない子が多いから。ヨーロッパと比較したときに足りない部分です。

植田 具体的にいうと?

幸野 例えば、サッカーは試合を通して起承転結があるということ。まず立ち上がりに相手のフォワードがプレスにくるなら、ディフェンスラインでしっかりボールを回して疲れさせ、後半じっくり料理するだとか。日本の場合、リズムが一本調子になりがちです。

植田 確かに日本の子どもを含め選手などは発想のレパートリーの少なさは感じます。

幸野 本当に憧れるようなチームや選手を毎週見て、自分自身のイマジネーションの引き出しを作れるということを自分の子どもを見て学びました。そして、それを必要な時に活用する。これは僕が教えられることではなくて、試合を見ることによってしか得られないんです。

植田 試合を見るということが予想以上に子どもたちに対し、影響力が高いんですね。

幸野 やはり小さいころから憧れの選手がいて、ワザを真似たりするんです。そういった引き出し方が大事なことなんです。そういう意味で試合を見させることは皆さんが思っている以上に、個人戦術の部分を含めサッカーをやるうえで大事です。今回のワールドカップを見ることはそういうことにつながるキッカケになりますし、その子のサッカー人生の中でエポックメーキング(ある事柄がその分野に新時代を開くほど意義をもっていること)になるはずだと僕は思うんですよ。日本がリアルタイムで試合をやってゴールを決めたときに、窓を開けて隣の家を見てみたらワァー!という声も聞こえるはずじゃないですか。そうなることを願っていますし、そうなると思っています。

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