元ロンドン五輪代表監督・関塚隆氏が見たブラジルの育成法とは?

2014年07月01日

インタビュー

プロになるための充実した環境作り

――率直に、育成面に関する日本との大きな差はどんなことだと思われますか?

 各クラブを視察して感じたのは、選手が14歳からプロになるためにすべてをかけている。そして、クラブもプロ育成のために食事、トレーニング、休養という環境づくりをしっかり行っています。

 学業との両立という面でも午前中に学校へ通わせたり、午後に通わせたり、それぞれのクラブが学校と手を取り合っていて、クルゼイロECに至っては学校の敷地内にクラブの寮を建てている。ブラジルはプロを生み出す環境づくりが構築されているんですよ。

 日本とは違い、サッカービジネスが成立しているということでもあります。プロを育て、ヨーロッパに選手を輩出して収入を得る。それを次の選手を育成するため、またトップチームが結果を出すために使っている。

 最近ではセレッソ大阪が育成とトップという2本柱でクラブに経営に乗り出していますが、確立したわけではありません。現状は環境の違いが大きい。

 サルヴァドール州のバイーアでJリーグでも活躍したウェズレイに会いました。そこで驚いたのが、クラブの寮が彼の日本への移籍金で建てられていたこと。

 選手がクラブに貢献し、クラブもそれを将来のために有効活用している。ブラジルですら、育成には力を入れている。勝手に育つのではなく、しっかり育てているということを強く感じました。

 それには指導者の力が大きい。判断力という観点でも、ネイマールらヨーロッパに移籍した若手もすぐ適応しているわけですから、昔よりも判断スピードは上がっていますよね。

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