日本代表の攻守のキーマンとなる森重真人選手が歩んだ少年時代
2014年10月09日
サッカーエンタメ最前線子どもの自立を高めるきっかけとなったリーグ戦での経験
こうして口田小での新たな日々がスタートしたが、新たな学校のサッカー環境は三篠と全く違うものだった。口田小のあるエリアは「高陽地区」と呼ばれ、広島の中で特別にサッカーが盛んな地域である。
そして、ここでは「高陽リーグという素晴らしいシステムの存在を全国の人に知ってもらいたい」(森重)が言うほど、全国に先駆けてすべての運営・マネージメントを子どもたちが自主的に手がけるボトムアップ式のリーグ戦・「高陽リーグ」を1983年からスタートさせており、リーグ戦文化が完全に定着していたのだ。
「高陽地区には口田、口田東、落合、落合東、真亀、亀崎、深川(ふかわ)という7つの小学校があって、それぞれ車で10分程度と移動のしやすい距離。サッカー指導のできる教員もたくさんいたことから、31年前に子どもたちがたくさん試合を楽しめる『リーグ戦』をやろうという話が出て、毎週金曜日の17時からホーム&アウェーで試合をやることが決まったのです」(植村代表)
高陽リーグが行われる日、子どもたちはコート整備や審判、記録など試合の準備を全部自分たちで進めていく。全員が最低半分(20分)は出場するというルールはあったが、メンバー選びや交代、戦術なども彼らが考え実践する。1年間のリーグ終了時には得点王やアシスト王、優秀キャプテン、優秀レフリーの表彰もあり、モチベーションも上がるような工夫も凝らされていた。また、試合終了後、ホームチームの指導者が両チームにアドバイスをする以外、指導者は口を出さないという大人があえて携わらない環境をつくることで、子どもたち自身の自主性を高めていくことにもつながった。
「日本サッカー協会は近年、リーグ戦の重要性を強調していますけど、高陽地区では30年以上前からそういう取り組みが始まっていた。それはすごいことだと思います。
1~3年生はジュニアリーグ、4~6年生が高陽リーグを戦うことになっているので、3年生は1・2年生の面倒を見ることになる。そして4年になると、今度は上級生の下で自分の役割に徹しないといけない。そういう縦割りの集団を経験することは貴重だし、子どもたちの自主性や自己判断力を養ういいチャンスです。
コート整備をするにもピッチの規格を覚えないとダメですし、審判をやろうと思えばルールを学ばないといけない。普通の子どもはそんな機会が滅多にないので、高陽の子どもたちは恵まれていると思います」
そう植村代表は数多くの利点を説明する。
子どもの自立を促すと同時に問題解決力も磨く。高陽リーグが、今の森重の土台をつくっていった。
カテゴリ別新着記事
フットボール最新ニュース
-
近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.04.25
-
「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.04.25
-
【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.04.25
-
リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.04.25
-
前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.04.25
大会情報
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2025.03.07
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】フォトギャラリー2025.03.03
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】F.Cボノスが逆転勝利で優勝を果たす!<決勝レポート>2025.03.01
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2025.02.25
お知らせ
人気記事ランキング
- U-16日本代表メンバー発表!【U-16インターナショナルドリームカップ2025 JAPAN】
- U-20日本代表メンバー発表。サウサンプトン・高岡伶颯や石井久継らが選出【第51回Maurice Revello Tournament】
- 「2025ナショナルトレセン女子U-14前期」参加メンバー発表!
- サッカーは「1対1」ではなく「2対1」がベース。海外の指導者の8割がそう答える、海外では当たり前にある感覚
- 「2025ナショナルトレセンU-14前期」参加メンバー発表!
- U-17日本代表、スペイン遠征に参加するメンバーを発表!
- U-19女子日本代表メンバー発表!【SUD Ladies Cup 2025】
- 「お前なんか絶対に一流になられへん」。”努力家”本田圭佑の原点【前編】
- 人生最大の挫折――。本田圭佑がガンバユースに昇格できなかった本当の真相【後編】
- 逆転勝利を呼び込んだ頭脳プレー! “野沢菜旋風”なるか? 長野県代表・ノザワナFCが堂々の2連勝スタート!