日本が世界で勝つために…。育成年代から変えていきたい「良いサッカー」の定義

2016年07月12日

コラム

日本サッカー協会は「良いサッカー」の定義を

 育成段階ではチームの戦績ではなく、個人能力の養成に絶対の比重を置くこと。これだけでも相当変わる。間受けについていえば、要は失敗させればいいのだ。

 バイタルエリアでパスを受けて仕掛けていくのは難度の高い技術である。才能も必要だが、才能があってもトライさせれば相応に失敗する。ミスが多発すればチームは勝てない。試合に勝つには確率の低い攻め方は回避してしまったほうがいい。簡単にいえば、高校年代では間受けを諦めても勝てるかもしれない。だが、育成段階でミスを経験させて克服させないなら一体いつやるのだろうか。

 プレッシャーなしで上手いのなら、プレッシャーに慣れてしまえば上手くやれる可能性は十分にある。相手の有無にかかわらず、ボールを扱うこと自体に変わりはないからだ。ビルドアップが上手いなら間受けも上手いはずなのに、実際にそうなっていないのはなぜか。そのための技術を磨いていないとしか考えられない。

 育成年代で良い成績を残している指導者は高い評価を得ている。チームとして優秀な戦績を残し、学校の名を上げてくれるから評価される。そうなるとチームが勝つための熾烈な競争はあっても、個人能力を伸ばすための競争ではなくなっていく。育成チームのプライオリティがプロと同じになっていないか、成長のために必要なミスを経験させていないのではないか、勝利のために育成を犠牲にしていないか。これは古くから繰り返されている疑問だ。

 日本代表がW杯に出場できるようになるずっと前から、日本の小学生チームは世界でも強かった。ヨーロッパ遠征に出ても大勝していた。しかし、年齢が上がるとともに勝てなくなり、大人の段階になると歯が立たない。個人が伸びていないからだ。ユース年代やジュニアユース年代でアフリカ勢が強い理由も似ていて、その年代までは身体能力で押し切れてしまうから勝てるが、大人になってその差が縮まると勝てなくなる。日本の場合はチームとして勝つためにまとめるので、個の育成重視でさほどまとまっていないチームに勝てているだけなのだ。

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