「もっと考えろよ!」では子どもは上手くならない! 守備時の『オフ・ザ・ボール』の質を高める指導法
2016年07月25日
コラムただ「考えろ!」とだけ言っても選手(子ども)はわからない。
今回は2回にわたり、P.S.T.C.ロンドリーナの富永英明コーチに「オフ・ザ・ボールの動き方」をテーマにお話を伺いました。一週目は、攻撃時のポイントとして「顔を出してパスコースをつくれているか?」、「プレーの選択肢として、パスの受け口をたくさん用意する」ということ。そして今週は、味方が自陣でボールをもっているときは「ボールを持っている選手との距離感を大切にする」そのためには「次に起こることを予測して、サポートのできる距離を保つ」こと。自陣で相手チームがボールを持っている(攻め込まれている)ときは「パスコースを消しながら味方のカバーも考える」というヒントをもらいました。
最後に富永さんは、自身の現役時代を振り返りながら、小学生の指導に対するこんな思いを語ってくれました。
「僕は現役のときにいろいろなポジションを経験しました。ディフェンダーを任されたときには、自分がフォワードのときに対面したディフェンダーで嫌な印象を受けたプレーを真似してみました。『なんでこのディフェンダーは嫌だったんだろう?』と考えたことをノートに書き留めて忘れないようにして、自分がディフェンダーになったときに相手にそのプレーを仕かけてみるんです。そうするとうまくいくことがあるんです。
小学生の選手たちも、今はフォワードだったとしても、高校生になったらディフェンダーになるかもしれませんので、ジュニア年代のうちはひとつのポジションに執着せず、多くのことを経験して繰り返すことで体に染み付かせておけば、きっと将来の役に立つのではないかと思います。
ディフェンダーを任された選手には、『ボールを奪われたらどうしよう』ということが常に頭のなかにあると思います。自分がボールを失ったことが原因でチームが負けてしまうこともあるでしょう。しかし、小学生の選手たちには、そういったことも良い経験だと思うのです。あとで『あのときは、こうすれば逃げられたな』と振り返って、つぎに同じミスを繰り返さないようにすればいい。
指導者も、そうやって子ども(選手自身)が考えながらプレーできるように、アドバイスをしてあげればいいと思います。でもベンチの指導者からは、ただ『考えろ!』とだけ声が飛んでくる。私もよく言われた経験があります。ただ、ミスをして『もっと考えろよ!』なんて怒鳴られても、実際に何を考えれば良いのかわかりませんでした。そんなときにこそ指導者が、子どもたちに『こうなったときにはこうなるよ』とアドバイスや気づきのヒントを与えて、導いてあげることが大切なのではないでしょうか」
<関連リンク>
・ビギナーのサッカー指導者必見! 攻撃時の「オフ・ザ・ボール」の質を高める指導法とは?
プロフィール
富永 英明(とみなが ひであき)
1976年8月27日生まれ。福井県鯖江市出身。国士舘大学時代には関東大学リーグで得点王に輝く。1999年に名古屋グランパスエイト入団。プロ12年間で通算197試合に出場し11得点を記録した。長身をいかして、フォワードから中盤、そしてディフェンスまでをこなすユーティリティープレーヤーとして活躍。現役最後のシーズンは、ブラウブリッツ秋田で選手兼任としてコーチも務めた。2010年に引退。日本サッカー協会公認サッカーB級コーチ。第1種高等学校教員免許を取得。現在はP.S.T.C.ロンドリーナ(神奈川県足柄上郡)で小学生の指導にあたっている。
■経歴
北陸高校 - 国士舘大学 - 名古屋グランパスエイト - サガン鳥栖(レンタル移籍)-湘南ベルマーレ(レンタル移籍)-名古屋グランパスエイト - ヴァンフォーレ甲府 - 横浜FC - TDK(ブラウブリッツ秋田)
P.S.T.C.LONDRINA(P.S.T.C.ロンドリーナ)
2000年にフットサルクラブとして神奈川県足柄上郡に設立。2003年には第8回全日本フットサル選手権で日本一に輝く。トップチームはFリーグの湘南ベルマーレフットサルクラブとして活動。Fリーグ出場最年少記録(15歳9か月14日)を持つフットサル日本代表の植松晃都選手を輩出している。ジュニア年代は、フットサルスクールの選抜チームとしてサッカーの活動もしている。
>>ジュニサカ公式facebookはこちら
>>ジュニサカ公式Twitterはこちら
>>ジュニサカオンラインショップはこちら
カテゴリ別新着記事
ニュース
-
【第49回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会】出場チーム決定!2025.06.18
-
なでしこジャパン(日本女子代表)、国際親善試合(vsスペイン女子代表)と「E-1サッカー選手権」に臨むメンバー発表!2025.06.18
-
「エリート女子GKキャンプU-15」参加メンバー発表!2025.06.17
-
「東北トレセン女子U-13」が開催!2025.06.10
フットボール最新ニュース
-
近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.05.21
-
「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.05.21
-
【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.05.21
-
リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.05.21
-
前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.05.21
大会情報
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2025.03.07
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】フォトギャラリー2025.03.03
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】F.Cボノスが逆転勝利で優勝を果たす!<決勝レポート>2025.03.01
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2025.02.25
お知らせ
人気記事ランキング
- 低学年と高学年の食事量の違いは?/小学校5・6年生向けの夕食レシピ例
- 栄養も食事量も“バランス良く”/小学校1・2年生向けの一日の食事例
- 食べてすぐに運動しても大丈夫! 試合前にとりたい”消化の良い”食事とは?
- プロフットボーラーの家族の肖像『久保竜彦 ~本気で向き合うということ~』
- かつて“怪物”と呼ばれた少年。耳を傾けたい先人の言葉
- 東北トレセンU-13が開催!
- パスやシュートばかりでドリブルしない子ども
- 長友佑都・小川佳純も大学からプロへ! 明治大学サッカー部 神川監督に聞く、学生サッカーと文武両道【前編】
- 起こってからでは遅い『スポーツ事故』の問題。指導者・保護者が心得ておくべきこと
- なぜ育成年代から「頭の中」を鍛える必要があるのか? その意義を考える【6・7月特集】