サッカーで多忙な子どもたち。小学生年代でフットサルに取り組む価値とは何かを考える

2016年09月02日

コラム

もう一度考えたいフットサルの必要性

 ただ、そんな状況にあっても、やはり指導者は子どもたちにフットサルを取り組ませたいと考えている。鶴丸監督は、バディ.FCがフットサルを取り入れ続けている理由についてこう述べる。

「うちはボールを持っていないところでの動き(オフ・ザ・ボール)を重要視しています。今の子どもたちはボールを持つ技術は格段に上がっています。これは目を見張るものがあります。

 ところが、みんなから『うまいね』と言われるような子でもボールを持っていないときの動きは全く進歩していないんです。育成年代は技術(の指導が)が先行していますが、僕はボールを持っていないときに、子どもたちが何を考えているのかこそ大事だというのは、ずっと言っています。

 例えば、キックインのときにはキッカーにしてもボールの受け手にして瞬間的な判断を要求されますので、フットサルから学ぶことができます」

 フットサルを専門にしているアッズーロ和歌山フットサルクラブ(和歌山県代表)の中尾隼土監督はこんな話をしてくれた。かつて海外(タイ)のプロフットサルチームでプロ選手として活躍した経歴の持ち主だ。

「まだ日本では『フットサル = ミニサッカー』という感覚が抜け切れていないようです。
『足元を磨いて来いよ』とか『テクニックを磨いて来いよ』という先入観があるようです。でも、実はフットサルはそうではないんです。狭い局面があるから判断力や認知力、そして決断力も必要です。そういう部分が凝縮されているのがフットサルです」

 コートの狭いフットサルに取り組むことで、ボールの運び方や視野の確保が向上すると話す中尾監督。教え子たちが所属しているサッカーチームの試合をよく見に行くが、フットサルをやっていることによって、サッカーのときに「見る、運ぶ、決断する」ことがレベルアップしていくのを実感しているという。

「ブラジルの小学生は「みんな当たり前のように小さい頃からフットサルをプレーしている」と教えてくれたのは、マリオフットサルスクール(静岡県代表)の安光マリオ監督。日系ブラジル人のマリオ監督が来日したのは23年前。Fリーグが誕生する以前の草創期から日本のフットサルに携わってきた人物だ。現在は、マリオフットサルスクールとともに、ブラジルの名門サントスFCの日本での養成機関「サントスFCサッカーアカデミージャパン」を静岡県で開校しサッカーの指導にもあたっている。

「子どもはフットサルをやっていると考え方が速くなる。フットサルは小さいスペースでプレーするから、いつも考えていないとダメ、自分で判断ができるようにならないといけない。僕ら(指導者は)子どもたちに教えるのではなくて、イメージを見せるだけ。これがある、あれがあるって、いろんなイメージを見せて伝える。子どもは、そのなかから“自分でプレーを選択する”。それがブラジルのやり方」

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