フットサルとサッカーで日本一となったセンアーノ神戸。全少で見せた“個の質”とその先にあるグループ戦術の課題
2017年01月16日
コラム高学年からグループ戦術を取り入れるのが日本の課題
「よく『フットサルをどうサッカーのトレーニングに取り入れているんですか?』と聞かれますが、フットサルはほとんどやっていません。きっと低学年から4対4、5対5のトレーニングをやっているからだと思います。4対4は幅と深さができる。5対5はGKを加え、より人数が多い中でプレーします。
うちはさまざまなバリエーションをつけて4対4や5対5をやっています。それが結果的にフットサルに生きているだけなんです。むしろフットサルの大会に出場するのは『状況判断や駆け引きの部分を学ぶため』という意味合いが大きいんです。違うスポーツだから大きな大会前は少しだけ、フットサルとして練習をしますが、それ以外はほとんどやりません」
ヨーロッパの育成では、センアーノ神戸と同様、当たり前のように4対4や5対5のトレーニングを行っている。大木監督は「低学年から」と口にしていたが、日本では練習の最後にミニゲームすらやらないクラブもまだ多い。辛辣な表現すれば、「だから、いまだに練習で身に付けた技術が試合で使えない」という問題を抱えているのではないかとさえ思う。
ただ、一つだけセンアーノ神戸に対して要望をするのであれば、「マークの受け渡し」を実践して欲しかった。それは後半開始から横浜F・マリノスが仕掛けた少ないタッチ数での素早いパス回しに対し、マンマークの守備では対抗できなくなったからだ。これは「彼らが決勝での戦い方を通した」ことをわかった上で、あえて書かせていただく。
小学校5・6年生になると、キック力が付いてくるからパススピードが上がる。そして、対戦チームを惑わすプレーが仕掛けられるような賢さを覚え、曖昧なポジションの取り方ができるようになる。横浜F・マリノスの選手たちは素早く動きながらパスコースを複数作るように心がけた。
すると、タッチライン際に近いサイドでは何とかマンマークで対応できていた守備が、センターに近づくほどマークする選手を見失い、また惑わされて守備にほころびが生じていた。
中学生からは11人制サッカーに切り替わり、さらにピッチが大きくなる。そうなると、マンマークだけではポジションに大きな穴を開けることになるから、マークの受け渡しが必要になる。だから、グループ戦術の基礎を理解しなければならない。
例えば、ドイツでは日本でいう小学校5・6年生からグループ戦術を指導し始める。ジュニア年代では7人制サッカーや8人制サッカーを採用している国は多いが、どの国でもU-13カテゴリーを境に11人制サッカーに切り替わるからグループ戦術を身につけなければ、越せない壁がある。
その壁に、センアーノ神戸もぶつかった。逆に、横浜F・マリノスは見事にそれを利用した。いずれにしろ中学生になったら個人戦術の判断の上に「グループ戦術の判断」を求められる。
前フットサル日本代表監督のミゲル・ロドリゴは「スペインでは、小学生の間にマークの受け渡しを学ぶ」と言っていた。世界を基準に考えれば、ジュニア年代の日本の課題は「グループ戦術への取り組み」が挙げられる。今後、各都道府県予選を含めて全日本少年サッカー大会に出場した選手たちがどんな成長曲線を描くのかは、このジュニア年代で受けた指導がベースになることは間違いない。
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