ジュニア年代の『リーグ戦化』で浮き彫りとなった地域の温度差。改めて考えたい“全少の意義”と“過密スケジュール問題”

2017年04月26日

インタビュー
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第14代会長就任から1年あまり。日本サッカー協会のトップとしてさまざまな現場へ足を運んだ結果として何を見て、何を感じたのでしょうか。ジュニア世代(4種)へのサッカーの普及と育成にテーマを絞り、田嶋幸三会長(59)のビジョンをうかがいました。

第2回目となる今回は、田嶋会長が力を入れる『ジュニア年代のリーグ戦化』についてです。その『リーグ戦化』に付随して表れた過密スケジュールの問題についてもふれています。

【特集】就任から1年――。JFA田嶋幸三会長と考えるジュニアサッカーのこれから

取材・文●藤江直人 写真●佐藤博之、ジュニサカ編集部、Getty Images


リーグ戦をジュニア世代の育成のベースに

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――2015年度から、ジュニア年代(4種)の年間カレンダーが大きく変更されました。全日本少年サッカー大会(以下・全少)が夏場から年末に移され、全都道府県でリーグ戦が開催されるようになりました。

「全少の開催を年末に移した理由は、日本サッカー協会として年間を通じたリーグ戦をジュニア世代の育成していくベースにしたいと考えたからです。ノックアウト方式ですと、強いチームは何度も試合を重ねていけますが、初戦で負けたチームはそれで終わり。そうではなく、同じレベルのチーム同士が何度も試合をする機会を創出する。一度失敗しても終わりではない、というリーグ戦の文化が世界的に見れば主流なんだと、その価値や良さを含めて指導者の方々に伝えていきたかった。

 全少を年末にもっていくことで、リーグ戦を通じてより完成度を高めたチームが出場できるわけです。本当の意味で強いチームを全少の代表に選びましょう、ということで僕たちはカレンダーの改革に取り組みました。一方で、年始にはバーモントカップ(全日本少年フットサル大会)が開催されていました。全少とバーモントの両方に出ていた子どもがかなりいましたし、僕たちとしても8人制サッカーと5人制のフットサルは共存共栄できるものだと思っています。

 プレイヤーズファーストの視点で考えたときに、両方の大会に出たいと考えている子どもたちのために年末と年始のバッティングを避け、また、子どもたちの負担を減らす意味でも、2015年度からバーモントカップを夏場に移すことに決めました。実際、昨年の全少で優勝したセンアーノ神戸(兵庫県代表)は、8月のバーモントカップでも優勝していますからね」

――リーグ戦の開催が導入されて3年目に入りましたが、どのような状況になっているのでしょうか。

「全少の都道府県予選を従来と同じ形式で開催したいという指導者の声は少なくありません。僕たちとしても『リーグ戦の結果だけで全少の代表を決めてください』とは申し上げられませんが、たとえば1部リーグの優勝あるいは上位のチームをシードするなど、リーグ戦の結果が反映されるような工夫をほどこした形で全少の予選を開催していただければ、それほど多くの時間はかからないと思うんですね。

 ただ、いままで実施してきた全少の予選をそのままの形で継続して、さらにリーグ戦を開催するとなれば、必然的に過密スケジュールになります。ノックアウト方式の大会そのものを否定するつもりは、まったくありません。長い伝統があり、多くの選手を輩出してきた全少が一番上に位置づけられるのも当然だと思います。しかし、実際にプレーする子どもたちに大きな負担がかかっている現状を考えれば、どこかで整理しましょう、となりますよね。そうでなければ、日程的にまったく回らなくなってしまうので」

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【昨年度大会で40回目を迎えた全日本少年サッカー大会。一昨年から、開催を夏から冬に移行していた(写真●佐藤博之)】

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