中村俊輔選手の監督論。数多くの名将たちと共に過ごした経験から育まれた深遠なるサッカー観
2017年05月15日
インタビュー
【出場機会に恵まれず、わずか半年で退団することになったエスパニョール時代を「悔しいけど一番いい」と中村俊輔選手は当時のことを語っている】
「感覚で話していることを聞き漏らさず、感覚を噛み砕いて自分のモノにできるかどうか」
――ところで、一番フィットしたチームはどこでしたか?
中村 セルティックのときは、勝っていく中で勝ちぐせとともに形が出来ていった気がします。気がついたらオーバーラップしてくれるし、ハートソンはポストプレーだし、個々が勝っていくうちに連動していった。J2のチームが勝っていく中で形ができて、J1に上がっても勝っていくみたいな。まあ、自分は楽だったかもしれない。そんなに負荷がかかるプレーをしなくても勝てるし、いいプレーができた。サイドチェンジ1つで拍手がもらえて、中へ入ればボランチからスッとパスが出てくるし、そのときは2トップが裏に走っている。
――じゃあセルティックが一番。
中村 一番はエスパニョールです。悔しいけど一番いい。
――んん??
中村 あー上手くいかないなと、何なんだろうと不安になって家に帰ってからDVD見直したり、そういう生活のほうが好き。ロンドやると、センターバックでも凄く上手い。俺なんか、下手なほうだったから。
――マリノスは?
中村 マリノスで自分が若いときもよかった。トップ下であちこち動いて、好き勝手にスルーパスして、ミスしても監督から何も言われなくて。それで自分でも不安になって、足りないところとか聞きにいった。そしたらアルディレス監督が「えっ?」て。「そんな質問でここへ来るな」って。「ナカさんは最高で、最高のプレーをしているから、ここが足りないとかじゃくて、今思っているとおりのことをどんどんやってくれ」と。
――へえ。
中村 感覚が違う。明神さんにマンツーマンでマークされた試合があったんですよ。僕は他の選手が空いているから、他の人がボールを受ければいいかなと思っていた。するとハーフタイムに「ナカさん、逃げちゃダメだ」と言われました。「ゴールキックでも、もらいに行け」と。他の選手もどんどんパスしろ、それで「かわせ」と。「かわしたら、バーッと目の前が開くから。相手の戦術はこれしかないから、それを受け止めちゃいけない。相手を圧倒しろ。1対1で抜きまくれ、他の選手はナカさんが背負っててもパス出せ」と。
――それはまた凄いですね。
中村 「マラドーナはそうだったぞ」と。それ言われたら、もうやるしかないでしょ。意地になって1対1しましたよ。アルディレス監督はマラドーナが十代のころから代表で一緒にやって、どうやって成長したか見てますからね。まず、日本人の指導者だったらこうは言わないでしょうね。その点はラザローニ監督もそうだったし、いろいろ言われているけどジーコ監督も。感覚でしゃべる。その感覚で話していることを聞き漏らさず、感覚を噛み砕いて自分のモノにできるかどうか。怒鳴ってシメるとかじゃなくて。彼らは基本的にやさしかったですよ。
――ストラカンもそんな感じ?
中村 何も言わない。「楽しんでる?」「家族は元気?」とか、そんな感じ。「今日のプレーだけどさ」とか、全然言わない。ストラカン監督はコンフェデレーションズカップで、本当はギリシャの選手を見に来たんですけど、俺のプレーを見て、『ナカムラを獲得しろ! オファーを出せ!』ってなった。そのときはストラカンて誰? だった。それで現役時代のプレー集を見てみたら、「あ、俺と重なるところがあるかも」と思いました。黙々とやる姿勢も好きだったみたいですね。
――結局、自分を理解してくれる監督だとやりやすい?
中村 それが一番かもしれない。しゃべらなくてもつながっている感じ。それほしさにしゃべりすぎてしまう監督もいるし、逆に威厳を保とうとして距離をとる人もいる。マッツァーリ監督は上手かったです。問題児の扱いが上手だったし、他の選手にわからないように監督室に呼んだりね。ポチェッティーノ監督も選手との関係作りは上手かった。グラウンドで対話するタイプで、マッツァーリとはまた別でしたけど。人間性というか、人に接するときの柔らかさが皆ありましたね。
(つづきは、フットボール批評issue16でご覧ください)
【商品名】フットボール批評issue16
【発行】株式会社カンゼン
B5判/160ページ
2017年5月6日発売
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天才技術者2人のロングインタビュー
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