ドイツの育成年代を教えるプロ指導者が子どもたちに語る!『サッカーをしてひとつでも上手くなろう』

2017年06月28日

ジュニアサッカーニュース

6月17日(土)、静岡県静岡市の「竜南フットサルパーク」で、中野吉之伴さんによるサッカークリニックが行われました。

文・写真●中村僚

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 中野さんはドイツ・フライブルクで育成年代の指導者として活躍しています。UEFA-Aレベルに相当するドイツサッカー協会A級ライセンスを所持し、サッカー大国ドイツで認められた指導者です。しかし、特別なトレーニングメニューはありませんでした。

 この日のメニューは、まずグリッドを使った4対2のパス回し、次に対戦形式でドリブルからのシュート、4対4のミニゲーム、最後に6対6のゲームで終了。一見すると、すべて日本でもよく見かけるトレーニングメニューです。

 この日の練習ではどんなテーマがあり、どんな狙いがあったのか。中野さんに話を聞きました。

「今日のテーマは「シュート」「1対1」「ボールコントロール」でした。選手たちがやりたいプレー、具体的には1対1からシュートという場面が多く出るようなオーガナイズを考えていました。対戦形式のシュート練習では、自分たちが多く決めるのが目的だったので、スムーズに練習が回りました。加えて、がむしゃらに打つだけではなく、どのように蹴り足に体重を乗せるのか、ゴールを決めるためにどうすればいいのか、少なからず意識してもらえたと思います。
 
 今日のように単発のクリニックの場合、特別なことはやりません。変わったトレーニングをしても、その日だけで終わってしては意味がありませんから。それよりも、どんな練習でも重要になる普遍的な要素を深めることを考えます。今日で言えば、足先でタックルするのではなく、ヘソを向けて体で寄せるように伝えました。それは今日すぐに実践できるかは別として、所属チームに帰ってからも大事な要素です。所属チームの練習とつながりが持てるようなセッションを意識しています」

 この日もっとも印象に残ったのは、最後の6対6のゲーム練習。気温が上がったことや、知らない子ども同士がチームを組んだこともあり、最初はあまり緊張感のある内容になりませんでした。ポジションもバラバラ、パスもつながらず、それぞれが好きなプレーを勝手にやるだけという感じです。そこで中野さんは一旦ゲームをストップして、選手たちに声をかけました。

「ゴール前でドリブルして、それをカットされたらどうなる? 失点がどれだけ重いダメージになるか想像してる? 今日ここまで練習してきたのはどんなことだろう? 暑いのはわかるけど、そんな中でもせっかく時間を割いてここにいるんだから、『サッカー』をしてひとつでも上手くなろう」

 その声は決して叱責するような口調ではなく、「君たちの気持ちはわかるよ。でもせっかくならちゃんとやろうぜ」と諭すような口調でした。それを聞いた選手たちの動きは見違えるようによくなり、ゲームには緊張感が走り、得点したときは本当に嬉しそうな表情を浮かべていました。

 トレーニングには、選手たちの意欲を駆り立てるようなオーガナイズももちろん重要です。例えば対戦形式にしたり、相手の名前を呼ばなければいけない状況を作ったりすることです。しかし中野さんの立ち振る舞いからは、いつもと同じトレーニングでも、声のかけ方や選手に意識させるポイントを変えて普遍的な能力を伸ばすことも、同じように重要なことだと言えるのではないでしょうか。

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