ブラジルの強豪クラブ・パルメイラスの育成哲学。個人へのフォーカスと「責任のあるなかでの“自由”」
2017年06月29日
コラム
【パルメイラス出身のガブリエル・ジェズス(写真右)。20歳ながらネイマール(写真中)、コウチーニョ(写真左)らとともにブラジル代表でも欠かせない存在】
選手が喜びをもってプレーできる環境をつくる
パルメイラスでは、個人の長所を伸ばすために、普段のトレーニングから基本的には1対1のメニューが中心となっている。その比率は全メニューの8割だというから驚きだ。もちろん単純な1対1ばかりを行うのではなく、いろいろな条件やルールを設け、常にリアリティーを持たせることで、練習の中からゴールに向かう姿勢や周りと競争する意識を育んでいる。
「例えば、1対1の練習をするなかで、5回しかボールにさわれない、3タッチ以内でゴールに行かないといけないなど、ゴールへいち早く向かう姿勢をトレーニングから意識させています。ボールを持ったときに、選手一人ひとりが前へどんどん仕掛けていく勇気を持つことが大切なんです。
そのためには、どの練習でも目的や要求する部分はしっかり伝えて、そして競争することを意識させなければなりません。試合になったときに、彼らが勇気を持ってどんどん仕掛ける、それぞれが思い切ったプレーを常に出せるようにする、そういったトレーニングを普段から心がけているつもりです」
個を伸ばすために“自由”を与える。それは言葉にすれば簡単だが、自由を与えることでチームとしてのまとまりや規律が守られない可能性は出てくるものだ。そこで、ペレイラ監督は選手たちとの距離感を何よりも大事にしているのだという。
「いかに監督自身が選手との距離感を詰められるかもすごく重要視しています。やはり選手たちに自由を与えるということは、自分も時には同じようにふざけたりすることも必要なんです。密な関係を築くことで選手たちとの信頼関係がより深まると思っています。そういう関係があるからこそ、「チームのために」や「この監督が言っているんだから自分たちもやらなきゃ」と思わせることにつながりますし、それが自由を与えたときに彼らの持っている本来のパフォーマンスを引き出せる一番のポイントになるのかなと思っています」
現在、マンチェスター・シティで活躍しているガブリエル・ジェズスのように、パルメイラスの育成年代を過ごして世界に旅立っていった選手は多い。今後も世界の舞台やブラジル代表で活躍する選手を輩出していくために、ペレイラ監督は密な関係を作りながら選手たちを育てていきたいと語っている。
「選手がピッチに出た時に、やはり喜びをもってプレーできる環境をつくるということを我々が重要視してやっていってあげないといけません。今のチームのなかでも一人ひとり性格や持っているものは間違いなく違います。より密な関係を築きながら、その子にとって一番のストロングポイントをピッチのなかで出してあげられるようなアプローチをすることが大切だと思います」

(関連リンク)
・2017 COPA BELLMARE U-11 PILOT INTERNATIONAL TOURNAMENT
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