ブラジルの強豪クラブ・パルメイラスの育成哲学。個人へのフォーカスと「責任のあるなかでの“自由”」
2017年06月29日
コラム子どもたちをいかに成長させるか。それは国やクラブ、そして指導者によって育成方針は千差万別である。6月24日(土)から2日間にわたり、馬入ふれあい公園サッカー場にて開催された『2017 COPA BELLMARE U-11 PILOT INTERNATIONAL TOURNAMENT』で、圧倒的な強さをみせて2年連続の優勝を果たしたパルメイラスU11。チームを率いるエドゥアルド・ペレイラ監督に、ブラジル、そしてパルメイラスの“育成”について話を伺った。
(取材・文●林遼平 写真●林遼平、山本浩之、Getty Images)
自由=やりたい放題ではない
昨年に引き続き参加した『2017 COPABELLMARE U-11 PILOT INTERNATIONAL TOURNAMENT』では堂々の2連覇を達成した。2年連続で日本の大会に参加したパルメイラスだが、エドゥアルド・ペレイラ監督は異国でサッカーをすることに何よりも意義があると話している。
「ブラジルのサッカーが世界で優れていると思われていたとしても、我々はまだまだ学ぶべきことがたくさんあると感じています。
日本に来て、日本の文化に触れること。そして、何よりも昨年度のコパベルマーレに参加させてもらったときに、人の温かさやいわゆる“おもてなし”の部分で日本人の素晴らしさを選手たちにも感じ取ってもらった。それが彼らの今後のサッカー人生にも生きていくということをすごく感じています」
パルメイラスにとっての“育成”とは何なのか。もちろん世界にはいろいろなトレンドがあり、各クラブの指導者によって指針は違う。その中でパルメイラスのペレイラ監督は、育成年代の指導者として意識していることに「自由」を挙げる。
「育成年代では、選手たちに“自由”を与えてあげることです。それは決してやりたい放題にやらせるわけではありません。責任のあるなかで“自由”を与えるからこそイマジネーションがあふれるプレーが出たり、即興性が生まれたりします。そういうところを我々は大事にしています」。
グループやチームをより良くすることを一番に考えるのではなく、いかに一人ひとりの選手をベースアップできるかに意識を傾ける。この年代で必要なのは戦術的な要素を教えることではなく、個人にどれだけフォーカスできるかだとペレイラ監督は語る。
「やはり、個々選手の長所をどんどん生かしてあげることが大切です。いかに個人を育てるか。何かの形にハメるのではなくて、彼らが持っている良いところをどんどん伸ばしてあげることにフォーカスすることが、先に繋がっていくのではないでしょうか」。
当然、パルメイラスとして個に重点を置く理由は、より多くの選手をトップチームに引き上げるために他ならない。トップチームに昇格する上で、明確に選手たちには求められるモノがある。
「パルメイラスはクラブの成り立ち、歴史から言っても、よりテクニカルな選手を昔から大事にしているクラブです。スカウトが選手のどこを一番に評価するかというところでは、やはり技術的な部分をベースに判断しています。自分自身も選手の技術とメンタリティー、そこを最も重要視して選手を評価しています」。
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