覚醒したファンタジスタ、イスコが魅せる駆け引き。彼はなぜボールを奪われないのか?
2017年09月14日
サッカーエンタメ最前線ロシアW杯欧州予選のスペイン対イタリア戦で、ひときわ輝きを放ちチームを勝利に導いたスペイン代表MFイスコ。W杯出場権をかけた大一番で3-0の勝利を収めた試合において、イスコは2ゴールをあげるだけではなく、巧みなプレーで相手を翻弄し、試合を支配していました。イタリア代表のMFヴェッラッティを中心としたイタリア代表からの激しいプレッシャーの中でもボールを奪われることなく、のびのびプレーしているように見えました。どうしたら彼のようにボールを奪われることなく、余裕をもったプレーができるのでしょうか。イスコがボールをもったときの駆け引きのうまさにフォーカスします。
文●前田快/ジュニサカ編集部 写真●Getty Images
ボールをもったときのプレーの選択肢が多いイスコ
イタリアとの大一番で、イスコは得点だけではなく、中盤でヴェッラッティに対して巧みな股抜きを見せるなど高い技術を披露する場面もありました。「フットサルのような股抜き」「イスコがヴェッラッティを翻弄」と、各国メディアもそのプレーに賛辞を送っていました。
では、どうしたらイスコのようにボールを奪われずに余裕をもったプレーができるのでしょうか。それは、彼がボールをもったときにできるプレーの選択肢が多いことが大きな要因のひとつでした。
イスコが味方からボールを受けたとき、「ダイレクトでかえす」「自分を追い抜いてオーバーラップした味方にパスをだす」「逆サイドに展開する」「FWにスルーパスをする」「自分でもちあがる」といったように多くの選択肢をとることができるし、またその選択肢がとることができるような位置でトラップをしたり、体の向きを整えたりしています。
私たちが試合を見ていて、イスコがボールをもっているときに、「次にどのようなプレーをするをするのか」を予想することはとても難しいです。予想もしていなかったプレーをイスコは次々にみせてくれます。誰も次のプレーを予想することができないから、彼がファンタジスタといわれるのでしょう。
実際にディフェンスをしているとき、相手がどのプレーをするのかをイメージしながら対峙することが多いと思います。そして、相手の選択肢が多ければ多いほど警戒しなければいけないプレーが増え、簡単に相手に飛び込めなくなります。
「自分は色々な選択肢をもっているぞ」と相手にアピールする、相手に考えさせること自体が相手にとって脅威になります。イスコはボールキープをしているときに、多くの手札をもっているからこそ相手との駆け引きがうまく、ボールが奪われないのです。
取材などでジュニア世代の試合を見ていると、ボールをもったときの選択肢が少ないように感じます。もちろん周りを見てボールをもらう前に次にするプレーを決めることはとても大事なことです。しかし、試合の状況は常に変化しているため、いざボールを受けたときに、するつもりだったプレーがうまくいかない状況になっているかもしれません。
そのようなときに選択肢の少ない選手は、あらかじめ決めていたプレーをやめて、違うプレーを選択するということができません。例えば、スルーパスをしようと思ってボールを受けた選手は、スペースが狭くなってしまった場面でも強引にスルーパスをしてしまいます。もし、選択肢の数が多ければ、スルーパス以外のプレーができて、よりチャンスを生み出せたのかもしれません。
動画を見ても分かるとおり、イスコもボールをもらう前に周りをみてあらかじめどのプレーをするかを予測しています。しかし、相手の守備のよせの速さであったり距離の変化に応じて、ボールを受ける前に決めていたプレーを「やめる」ことができます。この「やめる」ことができる選手は駆け引きがうまい選手に共通していると思います。
そして、このプレーができるのはイスコがたくさんの選択肢をもっているからなのでしょう。イスコのように多くの選択肢をもち、相手との駆け引きをすることができれば、余裕をもってボールをキープすることができるようになってくるでしょう。ひとつのプレーごとに、「さっきの場面で違うプレーはできなかったのか」と自分で振り返ってみることは、自身の選択肢の数を増やし、相手との駆け引きをする上で重要になってくるでしょう。
≪イスコのイタリア戦でのプレー集≫
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