「相手を騙す」にはどうしたらいい? 全国のドリブラーが集う聖和学園から学ぶ1対1上達の極意
2017年11月02日
コラム全国からドリブラーが集う聖和学園高校。2015年冬の高校サッカー選手権では磨き上げたドリブルを武器にライバル・野洲高校に7-1で圧倒。狭い密集地帯でもドリブルで果敢に攻める聖和学園の一貫したスタイルは見るものを魅了しました。加見成司監督は1対1で相手に勝つためにどんなことを重要に伝えているのでしょうか。今回は、11月7日に発売となる『聖和の流儀』から加見監督が考える1対1上達の極意を一部抜粋して紹介します。
文●加見 成司 写真●Shidu Murai
『聖和の流儀』より一部転載
子どもには元々ずる賢い部分が備わっている
「相手の逆を取りなさい」
私が1対1トレーニングを指導するときによく使う言葉です。様々なドリブルを身につけることも大事ですが、身につけたドリブルを上手く使って1対1で勝つためには、相手の逆を取ることができなければいけません。いわば「駆け引き」です。子どもたちには駆け引きを楽しみながらサッカーをやってほしいのです。
相手の逆を取るためには、まずボールの持ち方、ボールの置く場所が重要です。相手が触れない位置にボールを置き、さらに相手の意表を突く動作が必要になります。いろんな種類のドリブルができるだけでは不十分です。相手の逆を取る動きができるかどうかが、1対1を制するカギになります。
相手の逆を取るための有効な動きの一つが、フェイントです。ボールを触る足先のフェイントだけではなく、ボディフェイントを身につけることが非常に大事だと思います。足だけではなくて、体全体を使ってフェイントができれば、相手の逆を突く方法は大きく広がるので、どちらも身につけなければいけません。
相手との駆け引きは技術的な側面も大事ですが、もっとも大事なのは心理的な側面であり、これが駆け引きに勝つための大きなウエイトを占めます。
1対1の駆け引きでは「相手を騙す」という、学校の教育にまるで反することを選手たちに教えなければいけません。しかし、そこがサッカーの一番楽しいところでもあります。相手の心理の逆を突くために、人を騙す能力であり、つまり「ずる賢さ」が重要になります。
子どもは元々ずる賢さをみんなが持っています。悪いことをしたら隠そうとしますし、怒られないためにどうやってごまかそうかを考えます。
大人であればごめんなさいと言えば終わることですが、子どもは隠そうとします。そもそも人間はそういうずる賢さを持ち合わせているのです。
悪いことがバレないようにする発想の中には、こちらが驚かされるほど興味深いものがたくさんあります。悪いことがバレてしまったときに「いやー! お前はばれないようにこんなことをしたのか。すごいな!」と内心思わされるような状況をサッカーに置き換えると、本当に面白いアイデアになることが往々にしてあるのです。
プレーの判断はグラウンドの中で個人で下すものなので、そこには日常生活の習慣が出るものです。だとすれば、子どもたちには遊び心を持ってサッカーに取り組んでほしいと思いますし、どこか心にやんちゃな部分がないとプレーの意外性は出てきせん。
日常生活の中で「ずる賢さ」を身につけようとしても、それを学校教育で認めるのはさすがに難しい部分はありますし、人に迷惑をかけたり、集団の輪を乱したりするのはやはり良くないことなので、だからこそサッカーに置き換えて、指導者がしっかりと教えなければいけません。
サッカーに置き換えながら、「ずる賢さ」を表現するような、やんちゃさ、いい加減さ、適当さ、が表に出てくるとプレーに意外性が生まれ、プレーの要領が良くなります。
それはサッカーには絶対的に必要な部分であり、それが1対1において相手を騙し、相手の逆を取るドリブルに繋がります。だからこそ、ずる賢さから生まれる考えやアイデアを大事にしたいですし、追い求めたいのです。
(つづきは、11月7日発売の『聖和の流儀』でご覧ください)
【商品名】聖和の流儀 一貫したドリブルスタイルの果てなき挑戦
【発行】株式会社カンゼン
【著者】加見成司
四六判/168ページ
2017年10月23日発売
「1人の相手を抜くことは誰でもできる。僕らが追求するのは2人も3人も華麗に抜き去る選手を育てること。どんなに狭い密集地帯でもドリブルで果敢に攻めるのが、聖和の一貫したスタイルである」
2015年冬の高校サッカー選手権でライバル・野洲高校に勝利し“記憶に残るサッカー”を魅せた聖和学園高校。
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