派手な”ブラジル”と派手さがない”アルゼンチン”。南米各国によって「ドリブルスタイル」が違う訳
2017年12月11日
コラム南米各国によってドリブルに対する”捉え方”が違うのはなぜなのだろうか。ネイマール(パリ・サンジェルマン)のように観客を沸かせるようなドリブラーが多いブラジル。セルヒオ・アグエロ(マンチェスター・シティ)のように緩急をうまく使って相手をかわしにいくアルゼンチン。同じ南米でも国によってドリブルの”特徴”は異なってくる。今回は、かつてボカ・ジュニアーズでプレーした亘崇詞さんに「南米選手のドリブル」について解説してもらった。
(構成●山本浩之 取材●鈴木康浩 写真●Getty Images、佐藤博之)
『ジュニアサッカーを応援しよう!VOL.47』より転載

【写真左からテベス、アグエロ、ラベッシ。彼らは相手がボールに触れられない距離を保ちながら、緩急をつけて、少ないボールタッチで背後をとっていく】
うまさや派手さがないアルゼンチンのドリブラー
僕たち日本人は、ブラジル人のドリブルといえば、ロナウジーニョやネイマールのようなテクニカルで派手な魅せるボール運びを連想することでしょう。ところが、ブラジルの隣国であるアルゼンチンの人たちは 「あいつらには、サーカスの曲芸のよう要らないものが多く含まれている」と表現します。彼らにとって、ドリブルのうまい選手とは、元アルゼンチン代表のラベッシ やテベスであり、マンチェスターシティで活躍しているアグエロなのです。メッシやマラドーナは特別ですよ。ドリブルの急所やツボを知っている上にブラジル選手にも負けない、魅せられる部分も観る人に表現できる数少ないプレーヤーなのですからね。
ラベッシやテベス、そしてアグエロは優れたストライカーですが、日本ではドリブラーとしての評価はそれほど高くないかもしれません。けれども、アルゼンチンではドリブルのツボを熟知した巧みなプレーヤーとして評価されています。三人とも相手がボールに触れられない距離を保ちながら、緩急をつけて、少ないボールタッチで背後をとっていきます。
ロナウジーニョやネイマールだったら、この背後をとるドリブルのなかに、アウト、インで知られるエラシコやボールを何度も見事に跨いだりするわけですが、それがアルゼンチン人たちが指摘する「サーカスの曲芸的で、ツボをわかっていればある意味ではいらないもの!」なのであり、いらないものを削ぎ落してプレーするのが、ラベッシやテベスやアグエロだということです。
僕が、うまいと思うドリブラーは、緩急をいかすことのできるプレーヤーです。緩急とは、つまり静から動、ゆっくりから早く、またはその逆です。相手の足の動きが止まったタイミングをみて、一気にドンっと出ていくとか、相手を左に誘っておいて、食いついてきたら右にバーンと抜いて行く。ブラジルの音楽といえば、お祭りを盛り上げる軽快なリズムのサンバが有名ですが、一方で アルゼンチンはタンゴが有名です。タンゴは緩急のあるリズムが特徴です。そんなタンゴのリズムのように、ワンツーと緩急のあるドリブルで相手の背後を陥れるのが、アルゼンチンサッカーの魅力の一つです。
決して、うまさや派手さはないけれど、そういうものがなくとも相手を抜いていける。相手の背後のとり方の究極のコツを知っているのが、アルゼンチンのドリブラーの優れたところだと思います。
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