派手な”ブラジル”と派手さがない”アルゼンチン”。南米各国によって「ドリブルスタイル」が違う訳
2017年12月11日
コラム
【バルセロナなどで活躍したリケルメは、自分の足が遅いことを自覚し、相手を おびき寄せてから抜く、というドリブルが極めてうまかった。】
スピードではなく、手やお尻を上手くつかう
アルゼンチン人のドリブラーでは、かつて代表でマラドーナとツートップを組んでいたカニーヒアの存在も忘れることができ ません。カニーヒアの魅力はスピードにありました。スペースがあれば活きてくるタイプのストライカーです。
ただ、スピードは、アルゼンチンのドリブラーにとっては、それほど重要なファクターではないかもしれません。相手の逆をとって抜いたら、すぐに相手の背後に入ってしまうからです。ボールを相手選手に触らせないところに置きつつ、そのときに手やお尻の使い方もうまいのがアルゼンチンのプレーヤーの特徴です。相手を抜いてから背後をとるにはパワーや手の使い方、腰やお尻でのブロックなど相手の半身でも前に入る一瞬のコツが必要となるのですが、そんな巧さと力強さも兼ね備えているのです。
スペインのバルセロナやビジャレアルで 活躍したリケルメは、決して足の速い選手ではありませんでした。リケルメ自身も、自分の足が遅いことをわかっていたのでしょう。相手をおびき寄せてから、その背後を取るという方法で抜いていきました。
これは、サッカーの本当に面白いところです。スピード勝負ではウサイン・ボルトには勝てないけれど、陸上競技と違ってサッカーはフライングもできるし、ウソをついてもいい。「右に行きますよ」と振っておいて左に行くこともできる。引き技で後ろに下がるフリをして実は前に進んだり。そうやって相手を誘い出したり、相手を一度止めておいていきなり前に出たりしてもいい。そうなると周りも錯覚してしまいます。リケルメも速いように見える。でも、決して速くはないんです(笑)。
そして、アルゼンチン人のドリブラーは観客が作り出すといってもいいでしょう。選手がドリブルを仕掛けると、スタジアム のスタンドからは「Bieb(いいぞ)!」 という声が飛んできます。逆に「Cagon!」だったら、それは選手に対しての罵 声です。「腰抜け!」や「へこたれ!」「ビビりな奴」というような意味です。
どんなときにそんな風に言われてしまう のかというと、たとえば、相手陣内の深いところまで攻め込んでいて、前方に二人のディフェンダーが立っていたとします。そこには隙間があるわけです。ただ、隙間といっても、日本であれば、仕掛けなくても問題にならない狭いスペースなのですが、アルゼンチン人であれば「あれは行けるだろ!」という感覚がみんなにあるのです。そのときのスコアが0-2で負けていて、しかもペナルティエリアの中だったら絶対に「行け!」と言う。もし、選手が仕掛けなければ、スタンドから「Cagon!」という痛烈な声が選手の耳に突き刺さるわけです。
ワールドカップ(ロシア大会)の南米予選で苦しんだアルゼンチンは、崖っぷちに立たされたエクアドル戦で、メッシのハットトリックで出場を決めることができましたが、それまでの2試合は、まさにスタンドは「だから行けよ~!」という雰囲気 になっていて、アルゼンチンの選手たちが、両サイドから必死にドリブルを仕掛けているのがわかりますよ(笑)。
カテゴリ別新着記事
ニュース
- 「2024ナショナルトレセンU-14(後期)」参加メンバー発表!2024.11.14
- 「Jヴィレッジチャレンジ 2024 powered by シント=トロイデンVV」が開催!2024.11.14
- U-19日本代表、メキシコ遠征参加メンバー発表。湘南ベルマーレ・石井久継も選出で10番を背負う!2024.11.08
- 「U-16日本代表候補 国内トレーニングキャンプ」参加メンバー発表!2024.11.07
フットボール最新ニュース
- 近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.04.24
- 「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.04.24
- 【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.04.24
- リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.04.24
- 前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.04.24
大会情報
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 大阪大会】フォトギャラリー2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2024.03.09
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 愛知大会】フォトギャラリー2024.03.09
お知らせ
人気記事ランキング
- 「2024ナショナルトレセンU-14(後期)」参加メンバー発表!
- かつて“怪物”と呼ばれた少年。耳を傾けたい先人の言葉
- 「2023ナショナルトレセンU-13(後期)」参加メンバー発表!【東日本】
- 関東選抜メンバー発表!【関東トレセン交流戦U-15】
- 「2023ナショナルトレセンU-13(後期)」参加メンバー発表!【西日本】
- 「フットサルって足下がうまくなりますよね」。それだけじゃないメリット “重要な決断” が繰り返される価値とは【8月特集】
- 「FIFA×JFA ストライカー&ゴールキーパーキャンプ」参加メンバー発表!
- ボレーキック
- 【第37回全日本少年サッカー大会】三重県大会 決勝レポート「最後まであきらめない気持ちで試合終了間際に得点した、大山田サッカースポーツ少年団が優勝!」
- 2014年度ナショナルトレセンU-14 開催概要および参加メンバー発表