「子どもは”1つのきっかけ”で劇的に変化する」。滝川第二高校の元監督が説く、選手の育て方

2018年04月21日

コラム

指導者が選手に「ヒント」を与えてあげる

 自分自身の現役時代を振り返っても、高校時代にサッカーを始め、いきなりFWで使われたわけですが、1つのフェイントを覚えようと懸命に努力した覚えがあります。それを体得して試合で使ってDFを置き去りにできれば、本当に楽しい。そういうことが続けば、次へ次へとステップアップしていくものです。
 
 その前段階として、自分の長所、短所を知り、何を伸ばしたら自分がよくなるかを考えることが肝要でしょう。例に挙げた1人目の少年は体力不足という課題を克服して、試合で走り切れるプレーヤーになりましたし、2人目の少年は技術的な問題点を自分なりに改善して、成長につなげた。

 きっかけはコーチである私が与えたかもしれませんが、コーチがいくら考えても、本人が気づいて取り組まなければよくなりません。選手個人の自己分析力というのはジュニア年代から必要なんです。

 そのことは、台湾に赴いてからも、選手に言い続けていたことの一つです。
 
 ただ、台湾ではU–18 やユニバーシアード代表、A代表を指導しているので、定期的に活動はできない。そこが難しいところです。

「キミはこの技術を極めれば武器になるよ」
「足が速いんだから、それを生かせば、もっとゴールが取れる」
 
 こうしたアドバイスをして、その時は理解してくれても、しばらく活動が空いたりすると、言ったことを忘れているといったケースも皆無ではありません。
 
 それでも、コーチがヒントを与え、選手が自己分析して、自分の武器を研ぎ澄ませる方向に持っていくことはきっとできるはず。そう自分を叱咤激励し、神戸FC時代を思い出して、選手たちへのアプローチを続けています。


黒田和生(くろだ・かずお)
1949年、岡山県生まれ。東京教育大卒業後、神戸FCコーチ就任。84年、滝川第二高校の監督に就任。全国高校サッカー選手権への出場、全日本ユース 選手権優勝(05年)など輝かしい実績を残すとともに、23年間にわたり「人間教育」をテーマに岡崎慎司、金崎夢生、加地亮、波戸康弘など多くのプロサッカー選手、指導者を輩出。07年、ヴィッセル神戸普及育成事業本部長就任。 2009年からはユース(U-18)監督も兼任。2012年、63歳で新たな地・台湾へ渡り、ユース育成統括/U-13・18代表監督、A代表監督を歴任した。


人の心を

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【著者】黒田和生
【発行】株式会社カンゼン
四六判/256ページ

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育成のゴールは勝つことにあらず!
高校サッカーの名門、滝川第二高校の元監督が説く、育成哲学。

岡崎慎司、金崎夢生、加地亮、波戸康広、吉田孝行、小川慶治朗、岩波拓也……自ら道を切り拓く選手の“心の育て方”とは?


 

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