「子どもは”1つのきっかけ”で劇的に変化する」。滝川第二高校の元監督が説く、選手の育て方

2018年04月21日

コラム

個人からチームへとアプローチをする

 もう1人はその3年後、私が30歳の時に教えた少年でした。
 
 彼の場合はお父さんが元サッカー選手で、物凄く気合が入っていて、いつも試合に応援に来ていました。ただ、本人がモタモタしがちだったので、こちらも思うように試合に使えない。お父さんの気持ちを考えると、申し訳ない思いでいっぱいでした。

「その子が何とか試合に出られるようにならないか……」
 
 考えあぐねていた私が思いついたのが、キックフェイントを教えることでした。

「ボールを蹴るふりをして、いったん止めて、蹴る方向を変えたら、敵は惑わされるぞ。相手をからかうようなプレーを覚えれば、試合で使えるから」
 
 ある日、私はそう説明しながら、繰り返しキックフェイントを練習させました。それを実戦で試し、成功した彼は自信をつけ、試合に出るチャンスをつかみました。1つの技術をマスターすると、サッカーがより面白くなる。違ったフェイントやボールコントロールを覚えたくなって、貪欲に上を目指すようになる。そういう選手が増えれば、チームは確実に強くなります。
 
 自信というのは、チームとしての結果によって得られる場合もありますが、個人個人がうまくなり、チーム全体がレベルアップすることで得られる場合もあります。個人からチームへというアプローチもやはり重要。チーム全体をボトムアップさせることで、強い手段に近づきます。そこは、神戸FC時代に学んだ重要なポイントの1つです。

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