なぜスポーツ指導の現場に「言葉の暴力」が蔓延するのか? 改めて考えたい“スポーツをする”ことの本質
2018年06月05日
コラムスポーツの本質とは?
そして、スポーツの本質とは、「自分でしたいと思って、実際にする」ことにあります。日本の多くの現場で見られるような“強制的にやらされる”習慣は、スポーツの本質を大きく見誤っています。
海外のアスリートやメディアに、「最後まで諦めずに戦ったから偉い」という考え、言葉はありません。なぜなら、自分でそのスポーツを選び、ゲームに参加しているからです。自分から進んでその競技に臨んでいる選手には、そもそも諦めるという概念がないのです。
諦めるという行為に至るのは、“やらされている”からに過ぎません。「どうして、こんな強いチームと戦わないといけないの?」「これ以上無理なのに、まだやるの?」という思いは、“やらされている”から生まれてくるのです。
選手自身、子どもたち自身が主体的になってゲームに臨む。各チームの指導者は、「監督やコーチではなく、やるのは自分たち」ということが伝わる指導をしなければ、本当の意味でのスポーツにはなりません。
そのためにも、小学生年代の指導者は、子どもたちがサッカーを好きになるような指導をしていくべきです。好きになれば、プレーに対して積極的になり、絶対にうまくなります。ただし、技術的にうまくなることだけがスポーツではありません。楽しいと思えることこそがスポーツです。そして、取り組めば取り組むほど、技術的に伸びれば伸びるほど、その楽しさは変化していきます。
一緒にサッカーをしていて楽しいと思えるコーチと出会い、徐々に勝ち負けにこだわり始め、勝つと嬉しくて、またサッカーがしたくなる。より勝つためには何をすればよいのかと考え、技術やチームワークを磨き、うまくいく楽しさを覚える。こうした順番やサイクルを大切にして指導に当たれば、子どもたちは余計なストレスやプレッシャーを感じることなく、常に楽しくサッカーを続けられると思います。このように考える指導者が一人でも多く増えることを願っています。
<プロフィール>
池上 正(いけがみ・ただし)
1956年大阪生まれ。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼年代や小学生を指導。02年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。03年より小学校などを巡回指導する『サッカーおとどけ隊』を開始、延べ40万人の子どもたちを指導した。2011年より京都サンガF.C.に所属し、ホームタウンアカデミーダイレクターや 普及部部長など歴任。著書に、『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』『少年サッカーは9割親で決まる』(ともにカンゼン)などがある。
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