「小さくてプロは無理」を覆したメルテンス。マラドーナ、メッシにも共通する小柄な選手のアドバンテージ

2018年06月27日

サッカーエンタメ最前線
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NAPLES, ITALY - JANUARY 28:  Dries Mertens of SSC Napoli in action during the serie A match between SSC Napoli and Bologna FC at Stadio San Paolo on January 28, 2018 in Naples, Italy.  (Photo by Francesco Pecoraro/Getty Images)

“偽9番”システムで存在感を発揮

 オランダの2部リーグで大活躍したメルテンスは強豪クラブのユトレヒトへ移籍し、さらに3強の一角であるPSVアイントホーフェンへ、2013年にはイタリアの名門ナポリへ移籍した。

 ラファエル・ベニテス監督の補強第一号としてナポリ入りしたメルテンスだったが、先発メンバーの座をつかめずにいた。ゴンサロ・イグアイン、ホセ・マリア・カジェホン、ラウル・アルビオルといった有望選手が続々と加入していた。素早いカットインからのシュートが十八番のメルテンスにとって、クラブ生え抜きのロレンツオ・インシーニェの存在が壁になっている。

 しかし、全く出場機会がなかったわけではなく、むしろ残り20分のスーパーサブとしての地位は確立していた。相手の足が止まり始める時間帯で登場し、キレ味抜群のドリブルで引っかき回し、決定的なプレーで得点に絡む仕事で評価を上げていた。レギュラーポジションを確保したのは2016-17シーズンにイグアインがユベントスへ移籍したのがきっかけになっている。

 エースストライカーの移籍と控えFWの相次ぐ負傷によって、主にウイングとして活躍していたメルテンスがCFに起用された。マウリツィオ・サッリ監督は以前からメルテンスの偽9番のアイデアを持っていたそうだが、実行に移すまでに1年近くかけている。満を持しての偽9番システムは驚くべき効果を示した。

 サッリ監督が導入したパスワークのサッカーは正確なボールコントロールが不可欠だ。正確に止める、蹴る技術がないと到底成立しない。例えば、普通のチームのサッカーがセンチメートル単位とするなら、ナポリはミリメートルである。単位が違う。だから普通のチームなら味方がマークされているので諦めるパスでも平気で通す。狭い地域もコンビネーションやドリブルで抜けられる。

 その緻密なプレースタイルの中で、メルテンスの技術と俊敏性が遺憾なく発揮された。トップのポジションから少し下りてパスを受け、さばいてもう一度裏へ抜ける。ドリブルで突破し、左右へ散らし、スルーパスを出し、シュートを打つ……。いわばナノレベルのプレーが要求される狭い地域だからこそ、メルテンスのサイズの小ささが武器になった。

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