サッカーの解釈を深く掘り下げる。認知とプレーモデルの関係【6・7月特集】
2018年07月02日
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【カタールのアル・サッドに所属する元スペイン代表のチャビ】
日本人選手は「直感」ではなく「考えて」プレーをする
――54号の反応もよかったということは、見ている側の目が肥えてきた裏付けです。
浅野編集長「そう思います。間違いなく指導者だけが買っているわけではありませんから」
――メディア側もそれを前提として媒体づくりをしていかないといけないなと感じた時に、footballistaさんに一度取材をお願いしようとオファーしたんです。
浅野編集長「余談ですが、サッカー界で起こっている先端のことって、一般社会でも通じることが多いのかなと感じています。最近のサッカー界のトレンドとして、トレーニングは長くやりません。もう一昔前に言われていた時間、90分ですらありません。75分のトレーニングをハイインテンシティで行うことが広まってきています。これって残業時間を少なくして生産性を上げる議論にもつながりますよね。
認知をテーマにしても、示唆に富む話が多いです。
以前、元スペイン代表のチャビと日本の大学生がサッカーをプレーしている時の脳波を比較するNHKの番組が放送されました。チャビのプレー中は大脳基底核が働いていて、日本の大学生は前頭前野が働いていました。大脳基底核は直感を司る部分で、前頭前野は考えることを司る部位です。ようするに、日本の大学生は考えながらプレーしていますが、チャビは直感的にプレーしているということです。この結果は非常に重要なことだと思うんです。
以前、WEB企画「タスク化・人工知能化する個人戦術――考えないサッカーの時代へ」で林舞輝さんを取材しました。彼はモウリーニョが責任者・講師を務めるリスボン大学とポルトガルサッカー協会主催の指導者養成コース『HIGH PERFORMANCE FOOTBALL COACHING』に通っている若い指導者です。取材の中で心理学の『スキーマ理論』の話をしてくれました。
バスケットボールのフリースローは同じ位置から10回フリースローの練習をするよりも、 位置を変えて違う場所5箇所から2回ずつフリースローの練習を行った方が確率が上がる、と。つまり回数は同じでも、様々なバリエーションを経験した方が学習効果が上がるということらしいんです。要はただ同じ数の反復ではなく、 様々なシチュエーションをトレーニングすることで学習効果が上がる、と。 ここまできたら、もうサッカーの世界だけの話ではないですよね。この考えは、すべての分野に通じることだと思います」
――なるほど。全く同じ状況ではなくとも、それに近い状況に触れているだけで 判断までの頭の回転速度が上がるというロジックです。それってオシムさんがやっていた練習と同じ意味ですね。
浅野編集長「私もオシムさんがやっていたことはそれに近いのかなと思います」
――同じシチュエーションを反復することではなく、いろんなシチュエーションでテーマを変えることで引き出しを増やすというか、対応力を上げていくというか、 日本人の考えに沿ったプレーの選択を積み重ねることを試みることが「日本サッカーを日本化する」ということの意味だったのかな、と。
浅野編集長「サッカー選手としての総合力を上げたいということだと思います。それによって出てくる自然なプレイスタイルが日本人のサッカースタイルなんじゃないかということですよね」
――チャビの話もそうですよね。FCバルセロナのアカデミーでたくさんのシチュエーションとテーマのトレーニングを積み重ねてきた中で、あらゆる場面を経験してきて直感的にプレーできる選手になったのだと思います。日本はドリル練習的なものが多いので、前頭前野ばかりを使っているのでは?
浅野編集長「そもそも最初は、チャビも前頭前野を使っていたと思うんですよね。西部謙司さんがよく車の運転に例えられるんです。最初のうちは標識や信号を気にして見ているんですが、慣れてきたら意識すらしません。 日本のサッカー選手はいわば毎回初めての道を運転するドライバーで、チャビは近所の知っている道を運転するドライバー。それを『いかに変えていくのか?』という話です」
――標識も無意識に見ています。無意識の場合、明確に認知を定義通りに行っているかといえば違うと思うんです。
浅野編集長「ただ最初はきっちり教えられないとできません。ずっと実行していると、そのうちに自然にやれるようになるだけです。でも、教えられてもないのにいきなり路上運転させられても運転できるわけはありません 。ちゃんと知識があった上で何度も実行していくうちに、自然にできるようになるという話だと思います。
――やればやるだけ自然にやれるようになります。結局は指導者へと集約されていくと思うんですが、自分なりに体系化したものをしっかり解釈し、子どもたちにどれだけ伝えられているのかということですよね。そうするからこそ「何を見るとか」「何を基準にダイレクトプレーをしたとか」が判断できるんです。ワールドカップの「ドイツ×メキシコ」の得点シーンはまさにそういうことが詰まったシーンでした。
浅野編集長「そうですよね。ただ今まで言った流れを覆してしまうのですが、日本はカオスな状況の方が強いかもしれません 。両チームとも初めて通る道にしてしまえば強いのかも? 完全独自路線(笑顔)」
――そういう意味では、オールジャパンはあり(笑顔)
浅野編集長「海外の監督が向いてる向いてないの話はあります。ヨーロッパがやっていることがすべて正解ではありません。日本人には日本人に合ったやり方があると思います。ただ今はヨーロッパの先進国から学んだ方がいいんじゃないかなという気持ちです」
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