認知とは「状況に応じて的確に早い判断ができること」。大豆戸FCが実践する“頭の中へアプローチ”【6・7月特集】

2018年07月13日

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MEDELLIN, COLOMBIA - SEPTEMBER 13: Head Coach Miguel Rodrigo of Thailand gesturesduring the FIFA Futsal World Cup Group B match between Thailand and Cuba at Coliseo Ivan de Bedout stadium on September 13, 2016 in Medellin, Colombia. (Photo by Alex Caparros - FIFA/FIFA via Getty Images)
【元フットサル日本代表監督のミゲル・ロドリゴ氏】

「周囲で何が起きていたか」を理解させ、チームの基準で判断する

――フットサルは、サッカーとは全く別のスポーツだと思われています。ミゲル・ロドリゴは「フットサルをうまくジュニアの育成に活用すればサッカー界にとってプラスに働く」と語っていました。まず、クラブとしては「認知」をどう捉えていますか?

末本氏「私たちのクラブでは、認知を『状況に応じて的確に早い判断ができること』と定義しています。チームとして戦術的な先読みと動きの共通理解があり、無限にある選択肢からではなく、個々に『何を見るか』を認識させることは前提条件です。そのためにクラブとしてはプレーモデルを作り、それに対する判断基準を設けています。選手たちはそれをベースに複数の選択肢から素早く選んでいくことを習慣化しています。

 以前、あるフットサルのチームと対戦した時に感じたのは、チームとしてのプレーモデルとプレー基準を持っていたことです。彼らはその中から状況に応じて素早くプレーを選択しており、その速度に驚きました。当時、私たちは明確なプレーモデルがなかったので、局面ごとに一人ひとりが対応するしかありませんでした。当然、一つひとつ周囲の動きを見ながら個々がどうすべきかを考えているからプレースピードが遅かったのです。その遅さが原因で何度も局面を打開されてしまいました。

 彼らはチームとして基準を持っているので常に選択肢をいくつか自分の中に持っていて、それを状況に応じて素早く選択しながらプレーしていました。私たちは即興的にプレーするけど、行き当たりばったり。『チームとしての戦い方に共通理解がある上で、自分がどうプレーすべきか』という頭の働かせ方をしていませんでした。

 その体験があって、私たちはプレーエリア、状況、プレー原則に基づいて、個人、グループ、チームとしてどう戦うかを理解させた上で選択肢を選ばせなければならないとクラブの指導に落とし込んでいきました」

――スペインをはじめ、ヨーロッパではクラブによってプレーモデルというゴールがあって、それは共有するけど過程は個人に任されているように思います。日本の指導者たちはそのゴールに対して一本の通路しかない、例えばパスサッカーなど一括りにして思い込んでいるからパターンという考えに陥ってしまっているのかなとも感じます。

末本氏「判断基準、立ち返る場所がないので、日本の指導者や選手は混乱してしまいます。無限にある選択肢の中から選ぶのではなく、チームの中である程度のプレー原則や共通理解を設けた中で選手自身が選ぶことです。

 状況を正しく見ること。いつ、どこで、何を、どの順番で、どうやって、見るのか。目には見えない現象でありますが、そういったことを基にプレーの実行を行う上で『認識-選択-決断』は非常に大切なことだと考えています。

 多くの指導者がアクションだけを見てしまいます。しかし、重要なことは『そのアクションを起こす前に、頭の中で何が起きているのか』を知ってプレーすることです。しかし、まだ育成現場では『頭の中で何が起きていたか』ということに対するアプローチがなかなかできていません。

 私たちの考える『伸びしろ』とは頭の中であり、見る習慣と状況を解釈する力を身につけていけば、今は技術力が伴わず上手にいかなくとも、将来的にきちんと伸びていきます。それは自分自身で状況を分析し、プレーの改善を図っていく力が備わっているからです。私たちは未来に投資する感覚で頭の部分への指導を積み重ねています」

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【1/22トークイベント】中野吉之伴氏×末本亮太氏『ドイツサッカーの育成文化をどう日本に落とし込むか』


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