認知とは「状況に応じて的確に早い判断ができること」。大豆戸FCが実践する“頭の中へアプローチ”【6・7月特集】
2018年07月13日
未分類前回の特集企画(なぜ今「認知」なのか。サッカーの戦術的な理解を広く深めることの意義)では、月刊footballista編集長の浅野賀一氏に「認知」に関するインタビューを行い、メディアの立場からそれをどう考えているのかについて話をうかがった。その中で「プレーモデル」と「認知」の関係が話題に上がったが、日本の町クラブの中にもそこに気づき、そういう視点で独自に指導を行っているクラブも少ないが存在する。その一つが神奈川県で活動する「大豆戸FC」だ。そこで、代表を務める末本亮太氏に考えを聞いた。
取材・文●木之下潤 写真●ジュニサカ編集部、山本浩之、Getty Images
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オフ・ザ・ボールの部分を鍛えるとジュニアユースで伸びていく
――先月のクラブユースサッカー選手権(U-15)の神奈川県大会優勝おめでとうございます。ジュニアから育成している選手たちが躍動されたそうです。大豆戸FCが掲げる指導が一つ花開いた形です。
末本氏「ありがとうございます。この大会で優勝したU-15のスタメンのうち半分がU-13からクラブ入りした子で、半分はジュニア出身の選手たちです。ジュニア時代は横浜市のトレセンに入っていたは2人だけでした。中学生になり、身体的な成長期を迎え、『頭脳』と『体』が合致し始めてグンと伸びました。
彼らに共通しているのは『オフ・ザ・ボールの』能力の高さです。私たちはオン・ザ・ボールと同時に、オフ・ザ・ボールの部分で『サッカーを知ること』を深める指導(頭の中へのアプローチ)をジュニア年代から積み重ねてきました。サッカーを理解しているからこそプレーの質が高められます。
成人に向かえば身体的な能力差はなくなっていきます。だから、オン・ザ・ボールを磨くことばかり求めていくのではなく、オフ・ザ・ボールの部分を大切にコツコツと学んでいくことが重要です。そうすることで頭の中でプレーが行われた要因と理由を理解し、それを学習することができればプレーを重ねるごとに判断力が上がっていきます。私たちはそれを伸びしろとして捉えています。
ボール扱いに固執して技術的な側面だけを追求し、頭を使うこと『認知-判断-決断』をおろそかにしてきた選手たちがジュニアユース年代になって苦労するのを何年も目の当たりにしてきました。技術とプレー解釈の両方をバランスよく学んでいくと、次のステージで確実に伸びていきます。私たちは、今大会で優勝した選手たちの成長した姿を見て、あらためてその重要性を再確認できました。
余談ですが、久保建英選手がジュニア時代に所属していたチームとは親しくし、何度も対戦した経験があります。当時からボールを扱うことに非常に長けていましたが、『FCバルセロナ』という環境に身を置いてからは同年代の選手たちに比べて判断のレベルが格段に高くなったと感じています。彼は技術だけでなく、『認知-判断-決断』のスピードが速いからプロでも十分に通用しているのではないでしょうか。
【2011年~2015年までFCバルセロナの下部組織に在籍していた久保建英選手】
私たちはサッカーだけでなく、ジュニア時代からフットサルも同時に行うことで『オフ・ザ・ボール』の部分、『判断』の部分を鍛えることに取り組んできました。フットサルのプレーには、まさに状況判断が必要になります。ミスをすれば即失点につながりますし、切り替えや予測が早ければゴールが生まれやすい。つまり、頭脳を鍛えるにはうってつけなのです。
ミゲル・ロドリゴ(ミゲル・ロドリゴが教えてくれた「才能を引き出す」11の魔法)がフットサル日本代表監督になった頃、『考えるスピード』など頭の部分へのアプローチが注目されました。現在の高校生、ジュニアユースの選手たちはちょうどフットサルを取り組み始めた頃の子どもたちなのです。当初、周囲のスタッフも半信半疑でした。私たちもはじめは『狭いところでいかに技術的なものをあげていくか?』と思っていましたが、試合を戦っているうちに『違う』と気がつきました。
フットサルはサッカーに比べると見るものが少なく、選択肢が絞られるので判断スピードが高められます。サッカーで起こりうる局面の頻度、その成功と失敗の数を考えると、フットサルは数倍の量を体験できます。だから、非常に判断が鍛えられる、また予測に伴う攻守の切り替えの部分が鍛えられるスポーツだと感じています。フットサルも、サッカーも、ゴールを攻める守るという原則は一緒!だから、私たちはフットサルがもっと多くの子どもたちに手軽に楽しめる環境になってほしいと考えています」
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