弁護士に聞く、熱中症対策。抑えておきたい“4つの知識”。管理者・指導者の責任は?

2018年07月26日

コラム
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連日のように続く今夏の猛暑。熱中症による事故が絶えず、それは少年サッカーの現場でも無関係ではありません。そこで、日本スポーツ法学会会長であり、スポーツ事故等を専門分野とする望月浩一郎弁護士に、法的な観点からの熱中症対策について話をうかがいました。

取材・文●三谷悠 写真●ジュニサカ編集部


暑い熱中症

真夏の日中にサッカーをするのは危険な行為

 このところの猛暑、酷暑は近年、例を見ないほどになっていますが、熱中症による事故を防止するためには“そもそもサッカーをしない”という方法がもっとも適切と言えるでしょう。熱中症予防の目安となる数値にWBGT(=Wet Bulb Globe Temperature)、湿球黒球温度と呼ばれるものがあり、これは気温だけでなく、湿度や、日射・輻射などの周辺の熱環境を取り入れた指標で、数値(※単位は℃)によって熱中症への警戒度が5段階に分けられ、それをもとに日本体育協会は行動指針を示しています。

 WBGTが31℃以上であれば、運動は原則中止、特に子どもの場合は中止にすべきという指針が出されています。また、28℃以上は厳重警戒とされ、激しい運動は中止という勧告が出ているほどです。つまり、この夏のような猛暑の環境下においては、日中に屋外でサッカーをすること自体が間違っていると言えます。

 現在、インターネットのショッピングサイトでは、このWBGTを計測するための機械が数千円程度で購入できるようです。子どもたちの安全管理のためにも、1チームに1台は確保するようにしましょう。

 また、注意しなければならないのは、熱中症は屋外だけでなく屋内でも起こりうるという点です。建物の外壁に日光が当たり、それが熱源になって、室内に空調があるにもかかわらず室温がなかなか下がらないという現象が生まれます。これは輻射熱と呼ばれるもので、直接日光が当たらないから安全というわけではないのです。また、窓や扉を閉め切っていたり、厚着をしていたりすると熱中症が発生しやすい状況になるので、十分に注意が必要です。

 さらには以前と比べると、熱中症が起こりやすい環境になっていることも見逃せません。その要因は2つあり、ひとつは夏の平均気温は年々上がってきていること、もうひとつは子どもたちが汗をかきにくい体質になってきていることです。人間の暑さに対する耐性は汗腺の数が大きく左右しますが、その数は3歳までに決まると言われています。つまり、東南アジアなどの熱帯地域の人たちは日本人と比較して汗腺の数が多く、また、空調の効いた室内で過ごすことの多い現代の日本の乳幼児は汗腺が発達しにくい環境にあり、汗腺の数が減って汗をかきにくくなっているということです。そのため、夏に屋外でスポーツを行う際、大人が「このくらいの暑さなら大丈夫だろう」と自身の感覚で判断すると、子どもたちが熱中症にかかるリスクは高まってしまいます。

 3歳以降は、暑さそのものに慣れているかどうかも重要です。暑熱順化と呼ばれるものですが、空調の効いた部屋で体を動かさない状態から急に気温の高い屋外に出ると、やはり熱中症のリスクは高まります。エアコンに頼らない生活を普段から送ることも、対策のひとつと言えるでしょう。さらには、体調にも気をつけなければなりません。暑さによる食欲不振や下痢などによって体内から多くの水分が失われている状態であれば、脱水症状の危険性が高まるため、運動そのものを避けるようにしてください。体調不良は特に、暑さに対する調整能力を奪うので、極めて注意する必要があると言えます。

 また、肥満傾向にある子どもにも注意が必要です。体についた脂肪が原因で熱が体内から逃げにくくなり、痩せ型や標準体型の児童と比べると、熱中症にかかりやすいと言われています。指導者は子どもたち一人ひとりに目を配って指導にあたるようにしてください。

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