“認知-決断-実行”は同時に伸ばす。考える力を身につけることが「成長への一番の近道」【8月特集】
2018年08月28日
育成/環境今月は「少人数制」をテーマに特集を組んでいる。前回掲載したフウガドールすみだ・須賀雄大強化本部長兼監督インタビュー(なぜ育成年代では「2対2」が重要なのか? フットサルから「オフ・ザ・ボール」を学ぶ価値を考える)では、「個人戦術(2vs2)の重要性」について紹介した。最終回は「考える力」を鍛える方法について考えていく。
文●木之下潤 写真●橋本健、村井詩都、佐藤博之、ジュニサカ編集部
ジュニアでは引き出しを増やすために2対2をマスターすべき!
――少し話が変わりますが、バーモントカップは出場されているんですか?
須賀氏「今年は東京都大会のグループリーグで負けてしまいました」
――敗因は何だったんですか?
須賀氏「まずはチャンスを決めきる力が足りなかった。そしてさらに多くのチャンスを作り出すことが必要でした。それが敗因かと思います。
また、サッカーチームに自分たちが普段日常では行わない戦術を受けることもありその部分では非常に苦戦しました。やはりロングボールの競り合いに関してはサッカーチームの精度は素晴らしいと思います。
例えば、バーモントカップに出場するサッカーチームが直面する『ゴールキーパーのスローがハーフを越えられない』というルール。そこでしばしばサッカーチームが見せるのが、ゴールキーパーのスローをハーフラインの手前付近で後ろにヘディングですらし背後を狙うプレー。非常にうまいなと感じる一方で、『JFAが考えるハーフ越えルールの意図は反映されていないな』とも思いました。
私たちはあの一連のプレーに対してどう守るのかという対策を考えました。後ろのスペースをゾーンで埋め、手前にボールつけさせてそこからマンツーマンに切り替えていくような戦術にしたら守備がスムーズに対応できました。つまり、バーモントカップでは私たちはクラブとしてサッカーチームがとってくる戦術に対してどう振る舞うのかという意味で学びの場としても考えています。
先日も『EXILEカップ』に優勝して全国大会に出場することになったのですが、その時もロングボールが多かったみたいです。でも、しっかりとバーモントカップの経験を生かせたようで良かったです。
――こうしたらこうする。サッカーの指導者からはなかなか聞かれない言葉です。どうしても結果として1対1の延長線上で技術が大事だという話に収束していくので、ジュニアサッカーでは戦術的な戦いが生まれにくい環境だというのが本音です。本当にフウガドールすみだのジュニアチームは引き出しをどんどん増やしている印象です。自分たちが意図してやろうとしたプレーのエラーに対して「どうしようか?」と考えることを積み重ねられています。やはりフットサルでは引き出しの多さが鍵を握りますか?
須賀氏「ピッチが狭い分、 引き出しがないとプレーが停滞してしまいますし、手詰まりになってしまいますからフットサルで引き出しの多さは必要不可欠な条件です。ロシア・ワールドカップでもベタ引きのチームが多く見られましたが、サッカーでもあれだけ引かれてしまうと手詰まりになっていました。フットサルは元々スペースが狭くゴールも小さいので自然とそういった状況へ適用しやすくなってきます。
逆に相手が自陣のスペースをオープンにして、ものすごい勢いでプレスに来た時に、それにビビってボールを蹴ってしまうのか、来た圧力を逆にどうやって攻撃に生かすのかも引き出しの多さに起因していくところです。プレスに行きたい相手に全部ボールを晒してプレーしたら取られてしまいます。では、取られない位置にボールを動かして一見体の向きは悪いけど、あえてそこを引きつけさせてワンツーやくさびのパスを狙っているプレーだったらその寄せを十分に利用できると思います。
そういったプレーをインテリジェンスのあるプレーと言うと考えています。
――フットサルでいうインテリジェンスのあるプレーとはどういうものでしょうか?
須賀氏「インテリジェンスの定義は非常に広いかと思いますが、一つは相手の意図を逆手に取ったプレーだと考えます。例えば、AからBにパスを出すという体の向きを見せておいて、別の選択肢のCに出せる選手です。
Cに出すことをまず認知していなければいけないし、そこに出す技術がなければならないし、タイミングとして『いつ出せばいいのか』を決断しなければいけません。あそこのタイミングは一つ遅れたらパスコースなくなっていたけど、そのタイミングしかないよねというところでパスを出せるかどうか。見たことないプレーというよりも、誰もがそう思うプレーの選択を裏切るプレーというのがインテリジェンスを感じるプレーだと、私は思います」
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