まるで「ショーのような」トレーニングは、アルゼンチンで開演する
2018年09月11日
未分類3人のショーマン
一番「ショー」を楽しんでいるのは、もしかしたら彼ら自身なのかもしれない。
3人の細かい役割分担は(恐らく)決められておらず、それぞれが自由に動き回り、時に練習を止めてアドバイスをし、時に子どもたちと戯れ合い、時に自らプレーをする。
そうかと思えば、一人のコーチが観客席にいる保護者の靴を奪い、「こっちは仕事してるんだ!しっかり見てよ!」と冗談を言う。観客席は一瞬で笑いに包まれる。
その間に横に座っていたおじいちゃんから「マテ茶」をもらい、満足げに飲み干した。「笑い」と「マテ茶」は、アルゼンチン人にはなくてはならないものなのだ。
そうこうしている間に、コートでは練習が続けられ、ゴールとともに子どもたちの歓声と、コーチの賞賛の声が響いている。また別のコーチは、奥にある売店の中からモップを取り出して、コートの一部を熱心に磨いていた。
その数分後、彼が売店からお菓子を持ってきて保護者に配り始めた時、僕は笑いを抑えることが出来なかった。保護者の表情を見ると、いつも通りの出来事なのかもしれない。そうだ、「マテ茶」と「甘いお菓子」はセットだった。

息子を愛する父
僕の隣に座った一人のお父さんは、アルゼンチンの名門「ラシン」のファンである。
彼の息子を見つめる幸せそうな目を、僕は一生忘れないと思う。息子がチャレンジをするたびに笑顔になり、子どもは照れくさそうにお父さんを見つめ返す。彼の息子は、周りと比べると少し体が小さくて、技術もそこまで高くない。でも、そんなのどうでもいいなと、僕は思った。ものすごく幸せそうだから。
赤いゼッケンのチームが試合に勝っていると、「インデペンディエンテ」(ラシンのライバル)のファンのコーチが、「赤いチームはいつも青いチームに勝つな!」と、お父さんを茶化しに来る。
もちろん「ラシン」のチームカラーは水色で、「インデペンディエンテ」は赤色だ。ちょうどその頃、「ラシン」がカップ戦を戦っていて、売店のテレビでは絶賛放送中だった。
例のお父さんは、テレビを見るか、息子を見るか…究極の選択を迫られた結果、最終的には息子と2人でテレビを見つめていた。アルゼンチン人の息子は、父の愛するチームを愛するのだ。
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