子どもたちに戦術を落とし込めているのか? 柔軟性を持った指導者と一貫した育成方針の必要性/ジュニサカ会議3【9月特集】
2018年09月12日
未分類9月の特集のテーマは「改めて考えたい「4種年代」の問題点」。4月上旬に開催されたダノンネーションズカップをはじめ、チビリンピックやバーモントカップ、ワールドチャレンジなどジュニア年代では約半年の間に様々な主要大会が行われた。そこで現場を取材し続けていいるジュニサカWEBチームが座談会を実施。取材で浮き彫りとなったジュニアの問題点を挙げていった。前回(技術にばかりフォーカスしすぎていないか? 「個の育成」とは何なのか)は指導者の在り方について話し合った。第3回はクラブの在り方を中心に語っていく。
■座談会メンバー
ジュニサカWEB編集長:高橋大地
ジュニサカWEB編集部:中澤捺生
ライター:木之下潤
文●木之下潤 写真●橋本健、佐藤博之、ジュニサカ編集部
チームとしての戦い方を戦術レベルに落とし込めるクラブが増加中!
木之下「8月のジュニアサッカーワールドチャレンジ(以下、ワーチャレ)を取材していて、日本のチームは『なかなかボールが前に進まないね』という話はよく出てきました。ボールを前進させるために、目の前の状況をどう突破するのかというところをビルドアップに落とし込めてないというのは感じます。そこを指導者も『明確にそこのラインを突破する、このディフェンダーを越える』と、狙いとして伝えられているのかは疑問に思うところです」
中澤「もちろんロングボールもビルドアップの一つの手段ではあります。けど、結局それが逃げのロングパスなのか、チームとしての戦術的な狙いを持ったロングパスなのかで随分変わってきます。現場レベルでは、どうしても逃げの一手というふうに感じざるを得ません」
木之下「FCパーシモンを見ていると、指導者がそれを言葉に出して伝えていました。彼らは前線からスライドしてボールにプレッシャーをかけていくので相手からするとマンマークを受けているように感じます。そうすると、慌てて蹴り出すんです。でも、彼らはその蹴ったボールに対して狙いを持ってボールを回収しています。それは監督からの言葉からも読み取れます。
『ほら、蹴った』『次、回収』というように。
それを守備戦術にまで落とし込んでいることは、かなりハイレベルな指導者だと思います。それをプレーできているパーシモンの選手たちは日頃からイメージを持ちながら積み重ねている証拠です。8月のバーモントカップも含めて素晴らしい戦いをしていたし、それは大阪市ジュネッスFCも同様です。
彼らの場合は、外から中に追い込むディフェンスをしていました。それってワーチャレにおいては、自分たちより能力が高い選手たちを相手にしても中に追い込めば複数で対応することができるという意図があってのことです。外にボールを追い込めば自分たちより能力の高い選手と一対一をしなければなりません。それは監督も外からしっかり言葉として伝えていました。
大阪市ジュネッスFCはセンターラインの能力が高いので、自分たちの良さを出す意味でも中から外というやり方をさせた監督の手腕は見事ですし、チームとしてもレベルが高いです。それは両チームともJクラブに勝っていますから。そういうことを選手にプレーとして表現させられるまで指導ができている人材が町クラブに徐々に現れてきているのは、ジュニア年代からの底上げという点では良い傾向にあると思います」
高橋「ここ数年、町クラブの指導者のレベルが上がっているのは顕著に現れているように思います。特に年齢が20代後半から40代前半くらいの指導者は本当に優秀な方が増えてきていると感じます。地域では選手の質の差がもろに影響を受けますが、町クラブであってもある程度の選手たちが揃えば Jクラブと対等に渡り合えるということを証明してくれています」
木之下「たまに、『子どもだと忘れて見てしまっている』瞬間があります。あまりにうまいので!でも、それは技術だけを指しているのではなく、チームスポーツとしてのサッカーの見方をして忘れさせるという意味です。町クラブにはそういう選手たちが増えました」
高橋「選手にコメントを聞くこともありますが、大人よりもサッカーを知っているのではないかと感じる選手も出てきています。特に中盤でチームの中心としてプレーしている選手には多い気がします」
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