今、ジュニア年代で何が起きているのか? 現場指導者が語る”スケジュール問題”/指導者座談会1【9月特集】

2018年09月19日

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アーセナルサッカースクール市川が夏休みに実施した休息の取り組み

南里「神奈川はわかりませんが、千葉と東京は例えばジュニアでもT1とT2のようなトップに属するチームは前期リーグ、後期リーグと整備されつつあります。前期リーグの順位によって後期リーグが決まるんです」

末本「前期リーグはどれくらいで終わるんですか?」

小嶋「7月くらいです」

末本「では、8・9月あたりに後期リーグがあるんですか?」

小嶋「T2だと7月下旬くらいからスタートします。だから、あまり休みもありません」

南里「あと、秋から下のカテゴリーの大会が入ってきます。東京は5年生大会があるから8月も活動をしているし、秋になると各カテゴリーの試合が重なるんです。少しずつはズラしていますが、関東はチーム数が多すぎて全少の予選などを前倒しにせざるを得ないんです」

高橋「子どもたちの活動自体はかぶらないけど、指導者は休みなく活動しているわけですね」

末本「某市は興味深いケースで、4月とGWあたりには前期リーグが終わります。リーグ戦ですが、数週間~1ケ月で終わってしまうのでリーグ戦の意味をなさない状態になっています。その背景には、もともと開かれていた大会があって『競技場を抑えている』関係で、4月中にリーグ戦を終えなければいけないという事情があるようです。既存の大会とJFA管轄のリーグ戦でどこの協会も四苦八苦しているのではないでしょうか。

 横浜市も期間が幹事によって様々です。とにかく前倒しでリーグ戦を消化していくところも、4〜6月と長期のリーグ戦をゆっくり組んでいくところもあります。やはり長くなればなるほど、指導者や選手の成長の差が如実に出てきます。JFA管轄のリーグ戦に関しては補助金が出ていて、協会や連盟の立場からすると『試合を消化しないと、来年の補助金が出なくなってしまうから消化してくれ』というのもあるのでしょうか。現場の指導者の立場からすれば、長期のリーグ戦を戦わないと育成の意味を成さないからという感じでせめぎ合いが起こっている状況です。

 ただリーグ戦も前期と後期を戦っている間に、私たちが所属している港北区では区大会が入ってきます。しかも、フルコートの11人制です。だから、選手も指導者も頭の中を整理しなければなりません。8人制のJFA管轄のリーグ戦に、11人制の区大会が入ってきて、しかもフルコートで大人用ゴールでサッカーをしなければなりません。私たちは神奈川県のフットサルにも加盟し活動をしていますが、時にはサッカーの公式戦と被ることもあります。だから、今後は取捨選択をしていかなければならないと危惧しています」

高橋「話を聞いていると、関東はスケジュールがかなり問題ですね。既存の地域の大会とJFAが管轄しているリーグ戦が精査されていないようです」

南里「リーグ戦が整備されてきていると言っても、6年生だけの話です。3〜5年生の県協会の大会については年に1回の大会が公式戦の在り方です。その予選が各ブロックでありますが、試合経験を積む意味で試合数を増やすためにブロックわけし、それぞれでリーグ戦を戦い、勝ち抜いたチームがトーナメントで争います。結局、短期的な大会に変わりはありません。でも、スケジュールや天候の問題でリーグ戦が中止になると、結果的にはトーナメントの一発勝負になってしまう現実はあるわけです。5年生以下は単発の公式戦の在り方で、その中でチャンピオンを決める。やはり年間のリーグ戦を長期的に行う方向性には進んでいません。

 私は現在も、東京でクラブを運営していた時も区や市の協会には登録していませんでした。だから、JFAが管轄になる大会にしか出場していません。つまり、区や市が主催する大会には一切出ていませんでした。そういう事情があり、『U-11プレミアリーグ』を指導者の有志で立ち上げました。きちんとリーグ戦文化を築いていくため、子どもたちの本当の力を伸ばしていくために長期のリーグ戦を戦う体制づくりに着手しました。

 結局、区や市の大会に参加しながらJFA管轄の大会を戦うと、末本さんが言われた通り、人数もルールも混在した状態で試合をせざるを得ません。そうすると、『どこに向かって、本来の育成をしなければいけないんだ』というものが見えなくなってしまいます。2年前、東京でU12のチームを指導していた時、夏休み中に『バーモントカップ』と『関東大会』に出場しました。バーモントは8月中旬に大会があり、そのすぐ後に関東大会がありました。チームとしては出場権を得ている大会なのでどちらも大事なのはわかっていますが、いざ本番になると人数もルールも違うから大変でした。代表を勝ち取ったので結果も出さなければいけないし、でもサッカー、フットサル、サッカーとプレーすると子どもが混乱しますよね。その時は『本当に選手のために良い準備をしているのかな』と悩んでいました。

 今年は関東大会予選もベスト16で負けたものあり、いい機会だと思って例年より休みを増やしました。この夏は、U12については10日間休みをとり、オフ明けにキャンプを行って試合という流れのスケジュールを組みました。5年生以下は2週間完全オフにしました。というのも、協会主導の大会があったとしても『オンとオフをしっかり取ろう』というのがアーセナルの取り組んでいることだからです。どうしても『夏に量をこなした方が強くなる』と言われていますが、私たちアーセナルはそこから脱却し、『オフの回復を含めた取り組みを実践して検証結果を伝えていくことでそれを変えていきたい』という思いがあります。私たちがオンとオフへの取り組みを実践し、それを科学的に検証して実証していかなければならない、と。

 その一つとしてオフ前にインボディ、ようは体組成の数値を測りました。体重、身長、体脂肪率、筋肉量を測り、10日間、そして2週間のオフを含めた1ヶ月後にどれだけ体が大きくなったかを計測したんです。すると、みんな見事に体が大きくなっていました。 4年生は体重が平均して2kgぐらい増えていて、身長は大きい子で2㎝くらい伸びていました。やはり休息をとって、体にエネルギーを溜め込むことで確実に体は大きくなったんです。

 また、今年はケガが減っています。私は小嶋さんのチームが参加した『ジュニアサッカーワールドチャレンジ』、『関東大会』を視察しましたが、選手たちは疲労が溜まっていたように見えました。あと、体が小さいというのも気になりました。体そのものは強いのだと思いますが、どうしても細さが目に止まります。私は4年生と6年生を担当していますが、6年生は10日間、4年生は2週間というオフ後に活動を再開したらプレーの強度がこれまでと全く違いました」

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