育成指導者がサッカーを教えられないようでは問題外。でも、サッカーしか教えられない指導者は失格!
2018年10月07日
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ライセンスを取得した指導者が無条件にいい指導者ではない
だから、確立されたライセンス制度が必要になってくる。
講習会の場は、選手と指導者は全く別物であり、選手時代の経験は指導者としての経験には入らないことを知り、学んでいくことの大切さを知る場にならなければならない。言葉の重みを実感できなければならず、年代に応じて適切な対応があることを知らなければならない。トレーニングとはメニュー通りにやればうまくいくのではなく、そこには心理学、教育学、教授学、栄養学、スポーツ生理学など様々な分野のいろんな知識が要求される。
メニュー作りにしても、ただ思いつきで良さそうな練習を並べればいいわけではない。ライセンス講習会を受けたらすべてが終わりではなく、そこで学んだことをベースに、自分でまた積み上げていく準備ができるようになることが大切なのだ。ライセンスを獲得すればそれで何かができる保証には一切ならない。
ここで勘違いしてはいけないのは、ライセンスを取得した指導者が無条件にいい指導者ではないということ。
また「B級ライセンスって言ったって大したことはないよ。この前、そのライセンスを持っている指導者の練習を見てきたけど、別にいいトレーニングじゃなかったもの」というような言い方をする人もいるが、その見方も違う。ライセンスはその指導者のベース力を上げるための一つキッカケに過ぎない。つまり、B級ライセンスを取ったけど、その指導がひどいからB級がひどいわけでなく、B級を取ってなかったら、もっとひどいのだ。それはA級ライセンスにもプロコーチライセンスにも同じことが言える。
そもそもライセンスの内容をマスターすることと、クラブで指導者をすることとは別のテーマではないだろうか。指導実践をチェックし、筆記で内容をどれだけ把握しているかを確認することはできても、短期講習会で指導者にふさわしい人間性を備えているかどうかを推し量ることはできない。その場限りでいい顔をする指導者はたくさんいる。
むしろ指導者ライセンスをどうこうするより、指導者を査定する人物の研修を行う講習会やライセンスを考えた方がいいのではないかと、私は感じる。結局は人事権を持つ人が、「どんな素質・人間性・知識・経験を持った人が指導者としてふさわしいのか」という確固たる定義も持たずに配置決定をしているのであれば、大問題だ。「どうしてこの人がここで指導者をやっているんだろう?」とその指導者に何を言ったところで、実際にはその人を抜擢した人がいるのだから、そこが何とかならない限り、現場の状況は変わらない。
※vol.2「指導の質を高めるには常に考えを他人にさらす必要がある。その勇気が育成指導者には問われる」へ続く
<関連リンク>
・中野吉之伴 子どもと育つ
<プロフィール>
中野 吉之伴(指導者/ジャーナリスト) twitter@kichinosuken
1977年、秋田生まれ。 武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成年代指導のノウハウを学ぶためにドイツへ渡る。現地でSCフライブルクU-15チームでの研修など様々な現場でサッカーを学び、2009年7月にドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを取得(UEFA-Aレベル)。2015年から日本帰国時に全国でサッカー講習会を開催し、よりグラスルーツに寄り添った活動を行う。 2017年10月よりWEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」を配信スタート
▼主な指導歴
「フライブルガーFC(元ブンデスリーガクラブ)U-16監督/U-16・18総監督」/「FCアウゲン(U-19・3部リーグ)U-19ヘッドコーチ/U-15監督」/「SVホッホドルフ/U-8コーチ」
▼著書・監修本
「サッカードイツ流タテの突破力」(池田書店 ※監修/2016年)/「サッカー年代別トレーニングの教科書」(カンゼン ※著者/2016年)/「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」(ナツメ社 ※著者/2017年)
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