ルカ・モドリッチ。クロアチアが生んだ天才MFのルーツ
2018年10月12日
サッカーエンタメ最前線先月の24日に国際サッカー連盟(FIFA)による「ザ・ベスト賞」授賞式がロンドンで開かれ、男子の年間最優秀選手賞をレアル・マドリーのクロアチア代表MFルカ・モドリッチが受賞した。決して恵まれた体格ではないモドリッチはなぜ、世界最高峰のMFにまで成長することができたのか?天才MFのルーツを『ルカ・モドリッチ 永遠に気高き魂』から抜粋して紹介する。
『ルカ・モドリッチ 永遠に気高き魂』から一部転載
再構成●ジュニサカ編集部 著●ビセンテ・アスピタルテ、ホセ・マヌエル・プエルタス 翻訳●江間慎一郎 写真●Getty Images
初めて着用したすね当ては父親の手づくり
トミスラフ・バシッチは、その一つひとつの言葉に耳を傾けるべき博識な男として、そこにいた。1937年にザダール北東の島ヴィルで生まれた彼は、町では知られた存在だった。素晴らしいスポーツマン、フットボールの代表選手、名誉ある監督で、その賢明さによってペタンクでも腕を振るい、さらには故郷の社会、文化、政治にいつも積極的に関わろうとしていた。
包囲攻撃を受けていたあのつらい月日に、彼はNKザダールの下部組織の責任者を務めていた。フットボールをプレーすることを望むすべての子どもを受け入れるという彼の考えは、彼らを路上にある過酷な状況から遠ざけることになり、多くの問題に苦しむ町にとって少なくはない助けとなった。
1991年から1993年までの激しい爆撃の中で、水は定期的に供給されることなく、電気も200日以上通っていなかった。道にある雨水井戸と忘れられないうなりを発する発電機は、あの美し過ぎる町が少し前まで抱えていた、むごたらしい風景の一部だ。1943年にはナチス・ドイツに占拠されて、その次の第二次世界大戦では連合軍の攻撃を受けてと、ザダールの年長者たちにとっては何度も経験した思い出であり、その度に赤十字社が世界からの助けの手という役割を担った。
その一方で、ルカのフットボールに傾ける愛情の防塁となったのは、間違いなくスティペ・モドリッチだった。彼はNKポセダリエ、NKオブロヴァッツにまずまずの選手として在籍し、ゼムニクの仕事仲間ともプレーに興じていた。親子の共通点はきちんと生かされることになる。スティペは我が子がホテルでボールと戯れるだけでなく、しっかりとフットボールに打ち込むことを望み、ルカはそれを快諾した。そしてフットボールを子どもたちの気晴らし、彼らに自信を与えるものとして扱うトミスラフ・バシッチの考えが、スティペの願いを受け止めた。
つまりはあの暮らすことの難しかった町が、山生まれの少年と革のボールの物語をより強固なものとして、両者は二度と離れられなくなったのだった。
学生としてのルカは、その道徳的価値観の素晴らしさは常に際立っていたが、成績はまずまずで傑出していたわけではなかった。母は勉学に興味を持たせようと、ホテルに本を持ち運んだものの、その試みは失敗に終わっている。事実、モドリッチは後年にこう明かしている。
「フットボールの選手になっていなかったら、ウェイターになっていたはずだ。だけど神のおかげで、僕はフットボールを選択した」。
この言葉は、ルカのカトリック信仰も表しているが、彼は食事を前に毎回十字を切っている。いつも十分にあったわけではなかった食べ物に対して、感謝をするためである。
彼の人生の始まりにおいて、余りあるほどあったのはボールへの執着だった。ただ、それも最初は薔薇色の道ではなかった。困難であったのは、置かれていた状況だけではない。例えば、彼が初めて着用したすね当ては木製で、父親の手づくりだった。クロアチアのアイドルが、その事実を自ら明かしたことはない。
しかしトミスラフ・バシッチがそれを認め、彼はその二つのすね当てを大事に保管していた。ザダール下部組織でプレーしていた、輝かしき少年の成功を確信していたためである。その一方でルカ本人はここまで、何年も使い込んで最後には人にあげてしまった、ロナウド・ナザリオの姿がプリントされたすね当てを思い出すことしかしていない。このザトン・オブロヴァチュキ出身者の来歴は、もっと過酷なものであったはずなのだが。
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