「足が短い」から不合格。世界最高のフットボーラーが10歳で味わった挫折

2018年10月14日

サッカーエンタメ最前線

「彼はいつだって大会最高の選手だった」

 ショックは、あまりにも大きかった。ルカは落胆しながらザダールへ帰り、自尊心を傷つけられたトミスラフ・バシッチと会って、とどめを刺されることになる。「ハイドゥクで価値がないならば、ザダールでも価値はない。お前は1週間、練習禁止だ」、そう言葉をぶつけられた。
 
 しかしながら誠実、厳格、賢明なバシッチには、一つのプランがあった。あの時代に先見の明を持っていた彼は、ルカに3カ月間練習をさせなかった。スティペは憤ってその方針を非難したが、老将はこの活動停止期間に、少年がさらに数センチ成長することを確信していた。そして、実際にそうなったのである。そうした科学的研究の登場は数十年先であり、その当時には神秘思想に準じた出来事としか言いようがなかった。
 
 だが、その数センチの成長の間、幼いルカは歩み始めたばかりの道程で出くわした、最大の逆境の一つを前に暗澹としていた。自分を拒絶されたことに打ちひしがれ、迷いが晴れることはなく、フットボールを投げ出すことさえ頭をよぎっている。まだ青春期も迎えていない彼だが、「ノー」という言葉を耳にしたことで泣きじゃくっていたのだった。
 
 とはいえ最後には、いつどんなときにも持ち続けたこのスポーツへの情熱が勝っている。彼は再び、NKザダールでボールとともに楽しむようになった。この地域の古株たちが、同クラブ下部組織において最高の世代の一つだったと振り返る、1984〜85年生まれのグループの一員として。
 
 尋常ではないほど、縦へと突き進んでいける強力無比なドリブル。取るに足らないフィジカルながらも驚異的な自信を持ち、どんなことも恐れない姿勢……。ルカ・モドリッチは当時のチームメートたちに、特別な選手として記憶されている。クラブの責任者たちは成長著しいあのグループをザダールやクロアチア国内の大会のほか、イタリア、フランスの国際トーナメントにも参加させたが、ヴリンは当時について次のように振り返っている。

「人々が自分たちの試合を見るときには、すぐさま彼に釘付けとなった。ボバンのようだ、とか言っていたね。僕たちがトーナメントに勝つかどうかに関係なく、彼はいつだって大会最高の選手だった」

<関連リンク>
ルカ・モドリッチ。クロアチアが生んだ天才MFのルーツ

SOCHI, RUSSIA - JULY 07:  Luka Modric of Croatia celebrates following his sides victory in the 2018 FIFA World Cup Russia Quarter Final match between Russia and Croatia at Fisht Stadium on July 7, 2018 in Sochi, Russia.  (Photo by Lars Baron - FIFA/FIFA via Getty Images)

※全文はルカ・モドリッチ 永遠に気高き魂をご覧ください。


cover

【商品名】ルカ・モドリッチ 永遠に気高き魂
【著者】ビセンテ・アスピタルテ、ホセ・マヌエル・プエルタス
【翻訳】江間慎一郎
【発行】株式会社カンゼン
2018年10月19日発売予定(※発売日は変更になる場合がございます)

先のロシアW杯でクロアチア代表を準優勝に導き、大会MVPに輝いたモドリッチのすべてがわかる本格バイオグラフィー。スペインで発売され大きな話題となり、ロシアW杯のエピソードを大幅に加えた最新版が日本初上陸。

知られざる幼少期の生い立ちから少年時代、戦争の悲劇、体の小ささからなかなかプロへの道が開けなかった不遇の時代、クロアチアにおけるプロとしての紆余曲折の歩みと才能の開花、スペイン レアル・マドリーでの大活躍、そしてロシアW杯での不屈の成功…と、まだまだ日本では知られていないモドリッチの成長秘話や人となりを丹念に描き出していく。

幼少時代からの貴重な写真の数々も必見。


 

>>ジュニサカ公式facebookはこちら
>>ジュニサカ公式Twitterはこちら
>>ジュニサカ公式Instagramはこちら
>>ジュニサカ公式Youtubeチャンネルはこちら
>>ジュニサカオンラインショップはこちら

 

カテゴリ別新着記事

お知らせ



school_01 都道府県別サッカースクール一覧
体験入学でスクールを選ぼう!

おすすめ記事


Twitter Facebook

チームリンク