初心者コーチ必読! なぜジュニア年代は「筋力系」よりも「神経系」を伸ばすべきなのか?
2018年10月25日
コラム子どもの頃には筋力トレーニングをやらないほうがいいのか?
この発達時期に関わる話として、たとえば、一般的には「子どもの頃には筋力トレーニングをやらないほうがいい」「子どもの頃に筋力トレーニングをやると将来身長が伸びなくなる」という実しやかな風説がある。
浅井氏の回答はこうだ。
「小学生のときに筋トレをやったら筋力がつかないかといえば、そんなことはなくて身につきます。ただし、図2の曲線のとおり、小学生のうちに筋トレを一生懸命やっても効果は薄いのです。一日の時間は限られているのだから、神経系が発達する時期には神経系に適切な刺激を与えることに時間を割いたほうがいい。小学生のうちは筋トレよりも神経系がより効率的だということです。ちなみに小学生が筋トレをやると将来身長が伸びなくなる、という言い伝えに対する正確なサイエンティフィックな裏付けは確認できていません。小学生のうちにあまり筋トレばかりやっていると他に刺激を与える時間が少なくなくなるから、その意味で、発達・発育が阻害されるという見方はできなくもありませんが」
つまり、小学生年代で意識すべきは、図2のなかの①と②。
浅井氏は、大事なのは外で身体を使った遊びに時間を割くことだという。現代は、学校の校庭の使用時間や、地域の公園が限られているなど何かと制限があるが、もっとも神経系が発達する時期に屋内でゲーム三昧、といった時間を過ごしてしまうのはあまりにもったいない。「外遊びするのが難しいのならば、たとえば、登下校の間にスキップをしてみるとか、片足ケンケンをしてみるとか、それだけでもかなり神経に刺激を与えることはできます。片足ケンケンはまっすぐするのも効果的だし、慣れてきたらジグザグにスラロームするのもいい。あるいは、電信柱ごとにフェイントをかけていくとか、日常のなかにちょっとした動きを入れるだけで神経への刺激は違ってきます」
ジュニア年代の取材を繰り返していると、幼少期に縄跳びをするのは効果的だ、という情報をよく耳にするが、この縄跳びの効果は?「縄跳びには短い時間に大きな力を発揮する運動が入っているので、俊敏性を促す動きにはなると思います。
ただ、ある程度普通に跳べるようになったら、バリエーションを変えたほうがいいでしょう。神経は、負荷に対して反応し、やがてできるようになると慣れます。それが、オーバーロード・プリンシプル(=過負荷の原則)。トレーニングをやると慣れて、やがて疲れて、能力は一時的に低下するけど、休養や栄養をとるとまた伸びる。それを繰り返すことで神経系がどんどん発達していく。慣れというのは発達したということと同義だから、慣れたら次の段階へ進むことを心掛けましょう。
縄跳びで同じことを繰り返していても、持久力アップには繋がるけれど、神経への刺激は少なくなるから大きな発達は期待できません。二重跳びをするとか、ステップワークを変えるとか、工夫したほうがいいでしょうね」
神経には毎日、継続的に、刺激を与え続けたほうがいい、と浅井氏は強調した。「神経というのは電気刺激のようなもの。結線(つながり)が増えるか、一本のつながりが太くなるか、あるいは、神経のなかのノイズが少なくなるか、そのいずれかで発達していくものです。神経が精度よく流れるかどうかは電気と同じようなもので、それは半年や1年をかけて徐々に発達していくものなのです。ただ、発達するためには常に電流が流れていなければいけません。使われないと機能が落ちるのが人間の性なので、うまく刺激を与えるようにしてあげてください」

【浅井武氏(筑波大学体育学系教授)】
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