男子とプレーしたくない…。現場指導者の声から浮かび上がる女子サッカーの問題点【1月特集】

2019年01月25日

育成/環境

長野に女子のジュニアはどのくらいあるのか?

――長野県内に女子チームはどのくらいあるんですか?

小林氏「昨年の秋に開催したジュニアの県大会には、11チームが参加しました。女子だけの県大会は年に2回あり、春の大会は1クラブから2チームのエントリーをOKにしたので、12チームでした。ただ女子の場合、1学年だけで1チームを作ることはほとんど無理です。4〜6年生までを合わせるのが普通だし、場合によっては3年生まで含めなければいけません。私が運営する『松本ウイング』も、たまに1学年で1チームを組める年があります。そういう年は5年生を主体にもう1チームを作ることもありますが、そこで問題になるのがスタッフ不足です」

――なるほど。では、その11チームはクラブ数ということですね。

小林氏「はい。内訳は北信エリアが1チーム、東信エリアが1チーム、中信エリアが5チーム、木曽エリアが1チーム、南信エリアが3チームです。東信エリアに入る上田にはチームが1つ『丸子女子サッカー教室(上田ユナイテッド)』あったのですが、消滅してしまいました。あと、北信エリアにもう一つ活動しているチーム『エリセ中野サッカースポーツ少年団』があるのですが、試合の出場までは難しい、と。やはり『ヒト/モノ/カネ』の問題が大きいです。クラブの代表者の自己負担だけで運営するのは難しいですから。

【出場11チーム】
・松本ウイング
・波田FCバンビーナ
・マレーザ Kiso
・FC大町プチタフィタ
・アザリー飯田フィエット
・安曇野グリーンヒルプライマリー
・アンテロープ塩尻Jr.
・トップストーンロゼッタ
・FCスワン
・FCレジーナ・ソーレ
・FC佐久インテンザ

 うちのチームの事情でいえば、全学年で30名くらい在籍していたら『まぁまぁ選手がいるな』というニュアンスです。波田FCバンビーナさんは社会人からU15までを持つ『シュロス松本』と提携しているクラブです。秋の県大会で優勝したFCスワンの選手はうちと同じで、男子との掛け持ち活動の中で運営しているチームの一つです。なかには、女子チームだけでプレーしている選手もいます」

――そもそも選手たちは「女子チームだけでプレーしたいのか」、それとも「男子との掛け持ちでプレーしたいのか」、どちらを希望しているのでしょうか?

小林氏「いろんなケースがあるので、一概には言えません。男子とプレーしたくない選手もいますし、女子だけでやりたい選手もいます。でも、試合経験を考えると男子とのプレーは必要になるし、プレーのインテンシティが高まりますからジュニアの間は男子と切磋琢磨した方がいいと思っています。

 だから、数年間かけて女子チームの場合はアンダーカテゴリーのリーグ戦や大会に参加させてもらえるようにお願いしながら少しずつ理解してもらってきました。それに伴い、最近はアンダーカテゴリーで参加する女子チームも増えてきました。実際に、女子の県大会で予選を勝てなかったチームが決勝トーナメントまで勝ち進むことができるようになったクラブもあります。

 やはり、女子とはいえ、サッカーにおいて接触プレーは避けられません。そのプレー環境が向上すると、その中での技術も早い判断も磨かれます。なかには、女子チームだけの活動にこだわっているところもありますが、頭打ちになっている部分は否めないですし、長野の女子全体のことを考えると私も引き続き声をかけ続けていかなければならないなと感じています」

――ちなみにアンダーカテゴリーのクラブは、女子チームとはいえ、年上の選手を相手することになります。参加に納得しているのですか?

小林氏「お願いし続けてきて変わってきました。もちろん参加時期にもよります。例えば、リーグ戦の場合は冬場なら受け入れやすいようです。最初はうちを中心に松本エリアから広がっていって、県内全体に少しずつ理解を得られるようになってきました。でも、まだ微妙な雰囲気はあったりします」

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