男子とプレーしたくない…。現場指導者の声から浮かび上がる女子サッカーの問題点【1月特集】

2019年01月25日

育成/環境

1月の特集のテーマは「女子サッカーを見つめる」である。競技人口が少ない。チーム数が少ない。試合が組めない。試合経験を積めない。女子サッカーには男子とは別の問題が数多く存在する。だが、そうした問題を一部の指導者だけが抱え込んではいけない。サッカー界全体で把握していく必要がある。まずは、今月の特集を組むキッカケとなった長野県の女子サッカークラブ「松本ウイング」の代表・小林雅範氏のインタビューから、今起きている「女子サッカー」の現実に目を向けていく。

取材・文●木之下潤 写真●佐藤博之


U12は女子が統合されたが、新たな問題も浮上!

「男子とプレーするのが怖い」

 ジュニア年代には、こう思っている女子選手がいる。2015年度から女子と男子が一緒にプレーすることが当たり前になった。私がコーディネートする町クラブにも女子選手が4名在籍していて、4年生には3名いる。だが、練習を見ていると、男子の中になかなか混ざりたがらないし、女子だけで集まる傾向も強い。でも、多くの女子の中に男子が数人だと想像しても同じ現象が起こるだろう。きっと、当然のことだ。

 2015年度から、12歳未満の女子選手は種別女子のチームに登録することができなくなり、第4種のチームに登録しなければならなくなった(※詳しい区分けはコチラ)。つまり、ジュニア年代においては、女子チームが男子チームと同じ扱いになり、第4種として統合される形となった。

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 主な目的は、「女子選手のプレーの場を増やす」こと。

 それまで女子選手は人数が少なく、単体でチームを作ってもそれそのものがあまりなかったため、大会を開いたり、プレー&試合経験を積ませたりすることが難しい状態だった。ゴールデンエイジ時期には、致命的である。だから、第4種の統合は、女子選手のプレー経験を増やす手立てとしてはうってつけだった。

 もちろん、ある女子選手にとってポジティブな方向に進んだ面もある。だが、一方で別の女子選手にとってはネガティブな方向に働いてしまった面もある。実際に、八王子の地域では、いくつかのクラブに所属する女子選手だけを集めて練習会を設けていたりもする。その現場に立っている指導者たちは所属チームの練習を終えた後に駆けつけたり、クラブ同士のスタッフがすり合わせたりしてスケジュールを工面している。そうやって支えてくれる指導者たちには、本当に頭が上がらない。

 しかし、こういう課題を一部の指導者だけが抱え込んでしまってはいないだろうか? 

 やはり4種の一部だけでなく、全体で知っておくべき課題である。「女子サッカーっていろんな問題があるよね。チーム数が少ないから試合も組めないし。最近では、女子も4種として統合されたから小学生の間はプレーできるようになったけど、ジュニアユースとか中学校とかプレーする環境がないよね。ここを何とかしないと」。こんな声はたくさん耳にするし、間違ってはいない。男女が統合されたことでサッカーを選択しない女子がいることも事実であり、また一歩前に踏み込めない女子がいることにも目を向けなければならない。

 とはいえ、私自身も全国に点在する女子チームを数多く取材した経験はない。正直、男子ほどの問題もわからないし、解決策も想像できないことも多い。だから、一つずつ取材しながらユーザー(読者)目線で1月特集「女子サッカーを見つめる」ことを企画した。

 まずは、この特集のキッカケとなった長野県サッカー協会の女子委員会・女子U12部会長の小林雅範氏の言葉に耳を傾けたい。小林氏は、女子チームの「松本ウイング」も運営している。最初は、長野県のU12女子のプレー環境から始めたい。

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