「サッカーをするためだけに大学に行って欲しくない」と両親に言われた。エリートコースを歩んだ若きなでしこの“アメリカ”という選択【1月特集】
2019年02月01日
コラム
【アメリカ・オクラホマ大学に所属する黒崎優香選手(写真●中澤捺生)】
アメリカの大学を選んだ理由とは何か?
――そもそも黒崎さんは、どうしてアメリカの大学でプレーすることを選んだのですか?
黒崎選手「高校時代、両親から進学のことでは『サッカーをするためだけに大学に行って欲しくない』と言われていました。『サッカーをしたいのであれば、なでしこリーグに行って就職したらいい』と。その頃の私は、サッカーしながら働くことを想像できませんでした。日本の大学でやりたいこともないし、それなら海外に行こうと思い始めました。ネットで検索したら、スペインやドイツなどのトライアウトのサイトを見つけました。でも、私にはそこで契約を勝ち取れる自信もないなと思っていた時にたまたまアメリカのエージェントを見つけました。その中には『返金をしなくてもいいスカラシップ(奨学金制度)』があると書かれてありました。
女子ワールドカップ(2015年)でアメリカが優勝したこともあり、私の中でもアメリカの価値が上がっていました。英語も学べるのは今後に役に立つのではないかなと思ったりもしていました。高校2年の3月に実家に帰省した時、両親に進路について質問されたので『アメリカに行く』と答えたら『そんなことはないでしょう』と相手にされませんでした。でも、日本では奨学金を借りたら返さなければいけないし、私の中ではそうしてまで大学でサッカーをすることに違和感がありました。アメリカには、私が望むサッカーを続ける道もあったんです」
●返済不要の奨学金制度あり
●サッカーのレベルが高く、プロへも近い
●プロリーグがあり、レベルも高い
「そこから見つけたエージェントに連絡を取り始めました。でも、その頃は何も知識がありませんでした。3年生のときはキャプテンをしていたので部活のことで頭がいっぱいでした。真剣に進路に向き合う余裕もなかったのですが、8月のインターハイが終わった後、一度アメリカに渡って学校見学や試合観戦に行きました。正直、その時はずば抜けてレベルが高いとは思いませんでしたが、観客の数には日本と圧倒的に差がありました。もちろん大学によって異なりますが、見学した大学の試合では席が満員でしたし、ウェイトなどのトレーニング施設も充実していました。
何より観客が多い方がプレーしていて楽しいだろうし、魅力的でした。
それでアメリカ行きを決めました。当時は英語が全く話せませんでしたが、何とかなるだろうと。それに私は高校から親元を離れて県外で生活しているし、中学もクラブの練習に1時間半かけて通っていました。だから、国外に出ることもためらいがありませんでした。両親も最初のうちは「大丈夫?」と心配していましたが、私が頑固者なのは知っていたので、最後は背中を押してくれました。
ただ、高校最後の全日本高等学校女子サッカー選手権が残っていたので、全然勉強にも手をつけられなくて(苦笑)。しかも優勝したので、その後1か月間は余裕がありませんでした。その中でも勉強はしていたつもりだったのですが、今思い返すと全く足らなかったですね。それに気づいたのは渡米後でした。
アメリカに渡った直後1年間は語学学校に通うことにしていました。入学予定だったケンタッキー大学は、語学学校の1から6までの課程をクリアすると自動的に入学許可が下りる学校だったからです。私をリクルートしてくれたコーチはわざわざ高校選手権も見に来てくれました。
その時に『もし9月に入学できなかったら一年待つ』と約束してくれていました。
とても稀な話です。なぜならスカラシップはお金がかかっていることなので、その分を他の選手に当てることもできます。でも、待ってくれました。そういう想いに応えるために勉強し、語学学校での試験などをクリアして入学許可を得ることができました。
選手権が終わってから大学に入学するまでの1年半の間、サッカーをしていませんでした。なので、かなりのブランクがありました。5月に語学学校が終了し、シーズンがスタートする8月までの3か月間で毎日走ったり、トレーニングに励みました。1年目は私をリクルートしてくれたコーチが少し我慢して使い続けてくれました。『1年間ブランクがあるけど、やれば戻るから』と。やはりブランク明けで、フィットネスは難しい部分がありました。さらに高校はパスサッカーで、走るサッカーではありませんでしたから、アメリカの走るサッカーとのギャップがすごく大きくて。1試合の走行距離が10㎞を超える選手もいるほどです」
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