「サッカーをするためだけに大学に行って欲しくない」と両親に言われた。エリートコースを歩んだ若きなでしこの“アメリカ”という選択【1月特集】
2019年02月01日
コラム
【アメリカ・オクラホマ大学でプレーする黒崎優香選手(写真●中澤捺生)】
2年間アメリカでプレーして気づいたこと!
――アメリカの選手はガンガン走るイメージがあります。
黒崎選手「なでしこリーグでは、そこまで走る選手はアメリカに比べるといないと思います。走力のある選手もきっとサイドが多いでしょうが、アメリカは真ん中の選手も走ります。スタイルにもよりますけど、ハーフウェーラインからゴール前まで走るスプリントができないと味方についていけません。サイドの選手は平気で前に進んでいきますので、それに付いていかなくてはいけません」
――きっと黒崎選手のスタイルとは違いますよね。フィットさせるため、どう頭を切り替えたのですか?
黒崎選手「縦に速いサッカーは必要です。日本は、パス回しはうまいけど、その部分は足らないと感じていますし、今後は重要になってくると思います。1年目は走るサッカーに合わせることに必死でしたが、2年目はスプリントを増やさないとダメだと実感したので走りの量を増やしました。コンタクトプレーで負けることはあっても、パスの質では全く通用しないわけではないし、私の強みはパスなのでキックで周囲を走らせておいてそのあと「自分もどれだけ関わりに行くか」が大事だと思いました。
日本サッカーは全体がコンパクトなので、そういう部分が見えにくいです。でも、アメリカはハーフウェーラインから相手ゴール前まで走ることが当たり前。それに夏のシーズンはサッカー、冬のシーズンは陸上というような選手もいます。チームメイトにいたのですが、彼女は100mを11秒台くらいで走ります。
例えば、彼女にとってボールを受けたいタイミングではないから動き出しをしていないけど、出し手がそれを気にせず蹴っても彼女は追いついてしまうんです。
日本では考えられないでしょうが、予測して動くことは日本人のある程度の選手にとっては当たり前のことだけど、アメリカはトップの選手たちしかできません。1年目はボランチだったけど、2年目のシーズンはトップ下が多かったので、そういう背景を含めて、自身もボールを出して満足するのではなく、『前についていく』という意識を2年目のシーズンでは持ちました」
――自分の出来はどうですか?
黒崎選手「全然満足していません。アメリカのリーグは3か月間と短いんです。リーグ戦後に勝ったチーム同士が行うチャンピオンシップはありますが、それも12月頭くらいで終わります。1年目も、2年目もケガをしました。今シーズンは3試合連続ゴールを決めたりして自分の調子は良かったけど、チームが下降線をたどりました」
――ケンタッキー大学の女子サッカー部はどんなチームなのですか?
黒崎選手「ポゼッションサッカーにトライしていました。私をリクルートしてくれたコーチが実質的にチームを動かしていたのですが、(2年目の)シーズン前に辞めてしまいました。後任にスコットランド出身のコーチが入り、『パスサッカーをやりたい』とは言っているけど、実際はキック&ラッシュでした。言っていることとやろうとしていることが違い、難しい部分も多かったです」
――そういうサッカーでトップ下だと、ボールが自分を通り越していくだけですね。
黒崎選手「両サイドが足の速い選手だったので、ある程度は蹴るサッカーになっても仕方がありませんでした。チームメイトも自信がない選手が多かったので、ボールが来ると慌ててしまう選手も多かった。アメリカで足の速い選手は技術がなくてもスピードで抜けてしまうこともあります。ハーフウェーラインの後ろからドリブルしてコーナー付近まで進み、そこからクロスでボールを上げるのですが、中には誰もいないというか、追いついていない状況でした。だから、私からしたらもう少しタメが必要だったのではないかなと思いました。でもボールを蹴って走るサッカーをするし、チームもそれをOKとしていたから、当然サイドの選手たちに追いつかないですよね。正直サイドの選手は大変だっただろうなと思います」
――なるほど。フィジカルコンディションやアメリカサッカーへの慣れなど、2年間は違いや戸惑いがあったことが想像できました。3年目の今年は勝負ですね。少し話題を変えて、アメリカの大学スポーツの環境について話をうかがいたいです。
※続きは2月6日(水)掲載予定です
<プロフィール>
黒崎 優香(くろさき ゆうか)
福岡県北九州市出身の21歳。兄の影響でボールを蹴り始め、4歳の頃からサッカーチームでのプレーをスタート。小学生の頃は地元のクラブ「神理FC」に所属し、男子の中に混ざってプレー。中学時代は地元クラブの「ニューウェーブ北九州レディース」に入団しナショナルトレセンにも選出される。高校時代は藤枝順心高校に進学し、2013年には現なでしこジャパン監督の高倉麻子氏のもと、U16日本代表に選出されてコスタリカ遠征を経験。高校最後の全日本高等学校女子サッカー選手権大会では優勝を果たしアメリカ・ケンタッキー大学にサッカー留学し2019年からオクラホマ大学でプレーする。
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