キーワードは「可動性」と「安定性」。日本代表・武藤嘉紀が実践した”肉体改造”メニューとは
2019年02月21日
コラムプレミアリーグ・ニューカッスルでプレーする武藤嘉紀選手は、ロシアワールドカップやアジアカップでも日本代表に選ばれました。武藤選手の肉体改造をサポートしていたのが、スポーツトレーナーの寺田拓司さん。その寺田さんにプレーのレベルを向上させるためのトレーニングを紹介していただきました。キーワードは「可動性」と「安定性」です。
構成・文●三谷悠 協力●株式会社アスラボ 写真●JMPA、佐藤博之
『ジュニアサッカーを応援しよう! VOL.50』より一部転載
※この記事は2018年9月9日に掲載した記事を加筆・再編集したものです。
可動性と安定性を組み合わせたトレーニングを実践
――寺田さんはケガによって引退を余儀なくされ、それがきっかけでトレーナーの道に進まれたそうですね。
小学校1年生からサッカーを始めたのですが、常にケガが付きまとうようなサッカー人生でした。いま振り返ると、指導者に言われたことを何となくこなしているだけで、それがケガにつながっていたのかなと。それもあって、身体について深く知りたいと思い、トレーナーの道に進みましたね。
――指導するにあたって、ご自身でも実践することを大切にされているそうですが、その中でも特に効果を感じたトレーニングは?
モビリティという身体の可動性を高めるトレーニングですね。関節やそこに付着する筋肉の動きを滑らかにして、身体全体の動きを複合的にスムーズにしていく。サッカーは身体全体を同時に動かすスポーツですから、あらゆる箇所を複合的に動かせるようになるモビリティトレーニングはとても重要です。それと、筋肉をコントロールして身体を安定させるためのスタビリティ(安定性)のトレーニングを結合させて、パフォーマンスを上げていく。その組み合わせに一番、効果を感じたので、現在の指導の軸になっています。
――2017年2月から日本代表の武藤嘉紀選手(当時マインツ)のパーソナルトレーナーを務められました。その最初の印象を聞かせてください。
肉体的なクオリティはやはり素晴らしいものがありました。特に感じたのは筋肉の弾力性。人間の筋肉はまず緩んでから、その後に伸び縮みをして力を発揮します。その動作等も含めて、非常に身体能力が高いと感じました。
――逆に課題は?
問題があったのは、上半身の前面と後面の筋力バランス。本人は腹筋と臀部の強化に取り組んでいて、その分、前面の筋肉を含めて柔らかさに欠けていましたね。胸を開く動作や肋骨の動きに硬さが見られたので、そこの動きを出すトレーニングに取り組みました。それに加えて、後面の背中周りや腰周り、太もも裏のハムストリングスも強化し、足の指の動きを出すトレーニングや強化も行いました。
あとは、ヘディングですね。武藤選手が常々強化したいと言っていたポイントで、ヘディングは空中で身体の軸を固めながら安定させないといけない難しい技術。そこで僕が提案したのは、バランスボールに乗ってヘディングを行うトレーニングです。不安定な中で、軸と安定性とバランスの3つを意識しながら、正しい動作で強くボールを叩く。それも正面だけでなく、横からのボールに身体を捻って対応させたりなど、試合に近い状況を作って取り組みましたね。安定性と強さが増したと本人も感じていたようです。
――そうして約1年間、武藤選手を指導されたわけですが、肉体的にはどういった変化が生まれましたか。
身体がひと回り大きくなりましたし、全体の筋力バランスがよくなって、爆発力が増したように感じます。ブンデスリーガの大柄なDFを背負った状態でも正確にプレーができたり、相手に当たられてもその力をうまく逃がすような動きができたり、僕も本人も手応えを感じています。
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