質問のメリットは「無意識の意識化」。誘導されている問いかけでは「考える力」が育たない【3月特集】
2019年03月22日
コラム
質問のうまい人は相手のことを想像しながら話す
——質問はそういう力があります。例えば、質問の仕方も上手い下手があります。下手な人は何が問題なのでしょうか?
藤代「1対多数だと、いろんな事象が絡むので難しいですが、1対1でよくある失敗は質問を考えていることです。『どんな質問をしようか』と考えていると厳しいんです。相手の話している内容を聞いているつもりになったり、忘れてしまったりしてしまいます。
『この子はどんなことを考えているのかな』
相手に興味と好奇心を持てば自然に質問が湧いてくるんですが、質問ありきになってしまうとうまくいかないことが多々出てきます。ビジネスでも、コーチングでも同じなのですが、目の前に用意された台本通りに質問を受け答えするのが普通です。最初はそれでいいのですが、台本通りに進めすぎると『はい、次の質問』みたいな感じで流れてしまいます。
そうすると、その場合、答える人間からすると『その質問は私が答えた文脈と違う』という思いに駆られてしまいます。つまり、それは用意された質問をしているだけの状態です。それでは聞き手と受け手が信頼関係を築くことができないので、独自の情報を引き出したり、深い話を得られたりすることは難しいでしょう」
——質問ってキャッチボールの繰り返しなので、やればやるほど信頼関係が上乗せされるということでもあります。
藤代「指導の場面での質問と日常生活での質問はやり方が変わります。指導では多くの場合に『質問をした方がいい』という頭があるから質問形式で進めてしまいます。でも、命令になっていたり、誘導になっていたりするようなことが多く見られます。例えば、『今の場面、パスとドリブルどっちが良かったと思う?』と質問した後に選手が『パス』と答えると『いや、シュートだ』という指導者の方もたまにいます。そうすると、子どもたちは『だったら、最初からシュートだと言ってよ』と感じてしまいます。つまり、初めから『パス』という答えを言わせるために質問をしているわけです」
——わかります。指導者がそれで子どもを追い込んでいる場面をよく目にします。「なぜAじゃないの?」と。私から見ると「Bだと言った理由を聞けばいいのに」と思うのですが、その指導者は無意識のうちにAに誘導してしまっています。
藤代「そういう問いかけは相手にとってコントロールされる感覚が芽生えるので、子どもにとっては『コーチが望む答えを言えばいいや』と正解思考になっていく危険性があります。正解思考が当たり前になると『考える力』は育たないですよね。指導者時代、私も駆け出しの頃はそれをやってしまっていました」
——自分の考えではなく、指導者の考えることを言ってしまうことはよく見かけます。
藤代「今の子たちは賢いから、それができてしまうんです。学校もそういう教育をしているので、それが得意な子も多いです。『自分で考えて』と言われたトレーニング環境ではないので、答えを言っても『当っているかな』と不安に思っている子が多い。それが許されるような安心できる空間でなければ、『これを言うと笑われるのでは?』『これを言うと怒られるのでは?』という気持ちが先行してしまっています」
※第3回は3月27日(水)配信予定です。
<プロフィール>
藤代圭一(ふじしろ けいいち)
一般社団法人スポーツリレーションシップ協会代表理事。「教える」ではなく「問いかける」ことでやる気を引き出し、考える力を育む「しつもんメンタルトレーニング」を考案。全国優勝チームや日本代表チームなど様々なジャンルのメンタルコーチを務める。全国各地のスポーツチームや学校教育の現場などでワークショップを開催し、スポーツ指導者、保護者、教育関係者から「子どもたちの目の前で変わった」と高い評価を得ている。2016年からはインストラクターを養成。著書に「スポーツメンタルコーチに学ぶ」「子どものやる気を引き出す7つのしつもん」(旬報社)がある。昨年12月に新刊「サッカー大好きな子どもが勉強も好きになる本」(株式会社G.B.)を執筆。
<しつもんメンタルトレーニング>http://shimt.jp/
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