「具体」と「抽象」。対称ではない二つの概念からサッカーの指導を考える【サッカー外から学ぶ】

2019年04月11日

育成を考える

 
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【ビジネスコンサルタントの細谷功氏】

「二匹目のドジョウ」は通用しない
 
「ビジネスの研修でもサッカーのことはよく話題にするんですよ。たとえばパスって、止まっている相手に出すこともあるけど、積極的に攻めているときはまだ誰もいない空間に出すものですよね。
 
 ビジネスも同じで、みんな『いま流行っているもの』『いま売れているもの』を見てそこを狙うんですけど、それじゃあ遅いわけです。先行事例や成功事例を一生懸命かき集めて、みんなの納得、賛同を得て企画を通そうとするのですが、『ウチでもこれをやろう』となって開発した頃にはもう遅い。
 
 自分から相手を動かすようにするのか、予測するのかでも違いますけど、サッカーのパスと同じで、いまは何もない空間を狙わないと成功は見込めないんです」
 
 ビジネスコンサルタント、大学講師、哲学的な著書で話題になっている多才な細谷さんは、「サッカーのことはそんなに詳しくない」と言いながら、「具体と抽象」をテーマに、いきなり本質的な話をしてくれた。
 
「ビジネスでも世界中で起きていることですが、日本の社会では過去に売れたもの、流行ったものを追いかける『二匹目のドジョウ』みたいなやり方で発展してきたという成功体験があるんですよ。でも、技術革新のスピードが速まり、変化が大きい時代になったことで、以前は強みだったものが弱みになってきている」
 
 熟考よりまず行動、先行者利益、先発優位のビジネスモデルが増えている中、かつて輝きを放った日本企業の多くは意思決定で遅れをとる「大企業病」を患っている。
 
「なんでもそうだと思うんですよ。サッカーでも自分たちのチームを強化しようと考えたときに、勝っているチーム、強いチームがやっていることを追いかけることは大切ですけど、それに振り回されていては何も積み重ねがありませんよね。
 
 サッカーは日本代表とかワールドカップくらいしかじっくり見る機会はありませんけど、組織か個人か? ヨーロッパの戦術と南米の個人技みたいな二者択一みたいな話もあるじゃないですか。あれも、ある程度揺り戻しというか、どっちかが勝ったら次はその対策をした方が結果を出すという話だと思うんです。
 
 どっちがいいとか悪いとか、どちらが正解かとかではなくて、たぶんお互いに長所も短所もある中で結果が変わっていくだけのことだと思うんです」
 
 フランスが優勝したらフランス人、ブラジルが優勝した年にブラジル人監督を起用したどこかの国の代表監督人事ではないが、ビジネスで言えば売り上げ、サッカーで言えば勝利や大会での優勝などの具体的な結果に基づいた発想ばかりになっていると、かえって結果が出ないばかりか、一貫性や継続性を欠くことになりかねない。
 
「そこで重要になってくるのが『具体と抽象』という概念なんです」
 
 細谷さんが言う具体とは「目に見えているもの」で、抽象とは「目に見えていないもの」。物事をわかりやすく説明する際に「もっと具体的に」といわれることがあるが、「具体=わかりやすい=善」という考え方も「抽象=わかりにくい=悪」という考え方も「わかりやすさ」という一方向からしか物事を見ていない誤った見方だと細谷さんは言う。
 

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