「具体」と「抽象」。対称ではない二つの概念からサッカーの指導を考える【サッカー外から学ぶ】
2019年04月11日
育成/環境
【子どもの頃からプレービデオを見ていた中村憲剛】
具体と抽象は行き来するもの
抽象化が俯瞰力になり、サッカーのピッチを見渡す視野の広さにつながる。
中村憲剛選手(川崎フロンターレ)にインタビューしたとき、「自分のプレービデオを子どもの頃から繰り返し見て、試合の映像を見るのが習慣化しているので、実際に見たピッチとビデオの視野を頭の中でミックスして見ているかもしれない」と発言していた。
ビデオというツールを使って自分を客観視した結果、憲剛選手のスルーパスのコースが見えているとしたら、抽象化する力はやはりサッカー選手にとって重要なのかもしれない。
「では、具体化が悪いかというとそんなこともないんです。自分目線でプレーするエゴイスティックな部分や、目の前のことに集中する力もスポーツには必要ですし、抽象化する力が高い人たちがそういうことができないかというと、瞬間的にはかなり具体で物事を実行している」
たとえば点取り屋、ストライカーは、客観性よりも主観性、自分の特殊性を高めた方がいい可能性が高い。そのストライカーもボールが逆サイドにあって、どうゴール前に走り込むか狙っているときは俯瞰しなければいけない。かといってシュートをするときに変に俯瞰してしまうと、自分より得点の確率の高い(かもしれない)選手にパスを出す選択肢がちらついて判断が遅れる可能性もある。ポジション適性だけでなく、パスをするのかシュートをするのかドリブルをするのかによって、思考を切り替える必要もある。
具体と抽象は善悪ではなく、対立するものでもなく、お互いを行き来することで「見えていない」人に自分が見えていることを伝えたり、自分の視野を広げたりすることができるようになるものだと言う。
細谷さんは具体と抽象の関係性を「世界が変わって見える知性の仕組み」と説明するが、子どもたちにサッカーを「教える」にしても「教えない」にしても、コーチとして関わっていくからには、時には抽象化し、時には具体化しながら子どもたちに「伝えていく」必要があるのは間違いのないところだ。
「具体と抽象」の基本概念を説明するために初回は、見慣れたトレーニング方法やドリル、体験談や理論とは違って、自分の頭の中を整理するような“抽象度の高い”内容になったが、次回からは、子どもたちに“具体的に”伝える際の方法論と考え方を深掘りしていく。
細谷功(ほそや・いさお)
ビジネスコンサルタント。コンサルティング会社にて業務改革等を担う。近年は国内外で企業や各種団体、大学等に対してセミナーや講演を実施。主な著書に『具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ』、『「無理」の構造 ―この世の理不尽さを可視化する』、『自己矛盾劇場 ―「知ってる・見えてる・正しいつもり」を考察する』などがある。
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