「できるだけ具体的な指導を…」と意気込みすぎるのは半分正解で半分間違い【サッカー外から学ぶ】

2019年04月18日

育成/環境

「具体と抽象」をテーマにビジネスコンサルタント、細谷功さんをゲストに迎えてサッカー指導を考える連載の2回目は、サッカー指導の現場に即しながら、より“具体的”な話へと分け入っていく。「時代は変化し続け、サッカーは進化している」と子どもたちに説きながら例としてあげるのは自身がプレーした頃の経験。「自分で」と言いながら「考えろ」と強制する。今回は細谷功さんの著書、『具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ』『「無理」の構造 ―この世の理不尽さを可視化する』の視点を借りつつ、現場でのコミュニケーション、子どもたちへの接し方を考える。
 
【連載】「サッカーを“サッカー外”から学ぶ重要性」
 

文●大塚一樹 写真●Getty Images、ジュニサカ編集部


 
China Grooms Young Soccer Players For 2008 Olympics

人は自分の経験則にどうしてもとらわれてしまう

「まず、教育は原則的に上の世代から下の世代に向けて行われるものだ、ということをおさえておきたいですね。子どもたちにとって未経験のことを、経験している大人が教えるという構図です。サッカーのコーチも、自分たちの経験を元に教えることになる。これ自体が悪いわけではないのですが、子どもたちに具体的に伝える際には、『自分の経験が元になっていること』を自覚する必要はあると思います」

 昨今のスポーツ指導の現場では、「自分の経験だけで教えない」ことが大切だという考え方が主流になりつつある。しかし実際は、どうしてもかつて自分が受けた指導、自分の成功体験が根っこになってしまうものだし、必ずしもそれが悪いとは限らない。教えてもらう方にしても、プレー実績がすごい人の話を聞く方が説得力がある気がするし、実際にそのプレーを「できる人」に教わりたいと思うのが普通だ。

「基本は、やっぱり経験ベースだと思うんですよ。自分の経験したことを伝えることで、説得力が増す効果はたしかにあります。成功体験や、失敗体験を提示して『だからこうした方がいい』という指導は決して悪いことではないと思いますし、むしろその人の指導観、サッカー観を支える大切なものですよね」

 細谷さんは、コーチ「自らの経験」を大切なものとしながら、どちらかというと“具体の世界”に終始してしまうスポーツの指導では、経験則が大きくなりすぎる弊害が見られるのではないかと指摘する。

「スポーツは特に『俺(私)はこういう風にやってきた、それでうまく行った』という成功体験が大きくなりがちですよね。それによって起こる問題も多いと思います。たとえば、指導する子どもが『疲れてるから休みたい』と言ったときにどう返すでしょう? 『ふざけんな、俺らの時代は水も飲まずに走っていたんだぞ!』と返すのか、休憩にするのか、時代の流れだから休憩にしたけど『最近の子どもは根性がない』と思うのか。まず考えて欲しいのが、『それは現在も本当に通じることなのか』ということです」
 

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