大人同士に生じた軋轢が子どもたちに影響を及ぼしては本末転倒だ【サッカー外から学ぶ】
2019年05月09日
育成/環境
【ビジネスコンサルタントの細谷功氏】
相手の意見を変えるのではなく、「違い」を理解し、自分を省みる
大人同士の衝突や断絶で終わるなら、わざわざ取り上げる必要もないのだが、ジュニアサッカーを応援する立場としては、大人同士の対立が子どもたちの不利益になってしまっては忍びない。
「抽象度の高いレベルで根本的に違うなと感じる人とは、『別れる』という選択肢もありですよ。精神衛生上その方が健全でしょう。しかし、『自分に足りない視点があるんじゃないか』と立ち止まって考えられるようになると状況は変わるかもしれません」
細谷さんは、相互理解のためにはまずは、お互いの「違い」がなぜ起きているのかを理解した上で、自分を省みることが重要だと言う。
「私も心がけているのですが、自分とは違う視点、違う意見に触れたとき、相手を説得したり意見を変えさせたりするのではなく、『自分に足りない視点があるんじゃないか?』と自問することが大切なんです」
ここまでお付き合いいただいた読者ならすでにお気づきかもしれないが、これは、「対子ども」にもまったく同じことが言える。
自分がコーチとして「できるだけ具体的に」伝えた“つもり”のことも、受け取る子どもたちにとっては、抽象的で曖昧な指示に聞こえているかもしれない。
子どもたちへのコーチングにおける具体と抽象の関係性は第2回で詳しく述べているのでこちらも併せて参照していただきたいが、誰かに何かを伝える際、コミュニケーションを行うときには、抽象度の高低をヒントに相手と自分の違いを考えることで、関係性が変わる可能性がある。
これは、対大人、対子ども、サッカーに関わらず、人と人とのコミュケーション全般に共通していえることだろう。
この連載では4回にわたって、「具体」と「抽象」という世界の見え方が変わる視点について考えてきた。具体であることが絶対正義と思われているスポーツ指導における抽象化の重要性から抽象化の持つある意味での危険性まで、幅広い話題が登場したが、共通しているのは、物事を考えたり伝えたりするときには、「具体」と「抽象」を意識した上で、両方を行ったり来たりしながら考えることだ。抽象概念を扱うことで、日々のトレーニングという極めて具体な事柄の内容が変わり、サッカー観という抽象的で属人的な事柄が具体的に見えるようになってくる。
この連載ですべてを理解するのは無理な相談だが、「具体」と「抽象」、それぞれの概念を知ったことで、すでにあなたが見ている世界が変わっているはずだ。
細谷功(ほそや・いさお)
ビジネスコンサルタント。コンサルティング会社にて業務改革等を担う。近年は国内外で企業や各種団体、大学等に対してセミナーや講演を実施。主な著書に『具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ』、『「無理」の構造 ―この世の理不尽さを可視化する』、『自己矛盾劇場 ―「知ってる・見えてる・正しいつもり」を考察する』などがある。
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