「相手を見てサッカーをする」という概念が失われていないか?
2019年05月13日
戦術/スキルサッカーは基本的に11対11で勝敗を争うスポーツです。相手チームに勝利するには、相手チームよりも多く、相手チームのゴールネットを揺らさなければなりません。そして、相手のゴールを奪うためには、相手よりも優れたプレーをする必要があります。では、優れたプレーとは何なのでしょうか。鹿島アントラーズや日本代表などでプレーし、現在はサッカー解説者や指導者として活躍する岩政大樹氏は「サッカーにおいて〝正しい判断〞とは相手から決まる」と自身の著書で語っています。サッカーをプレーするうえで重要な「相手を見てサッカーをする」という概念を岩政氏の言葉から紐解きます。
著●岩政大樹 写真●Getty Images、ジュニサカ編集部
『FOOTBALL INTELLIGENCE 相手を見てサッカーをする』より一部転載
「自分たちのサッカー」という言葉の真実
サッカーではしばしば言葉が一人歩きします。「自分たちのサッカー」という言葉はその好例でしょう。
「自分たちのサッカー」とは、言葉にすると〝自分たちがやるべきこと〞をやり通せた試合のことでしょうか。サッカーは相手がいるスポーツですから、本来その中には〝相手云々にかかわらず自分たちがやるべきこと〞もあれば、〝相手(あるいは試合の流れなど)によって変えるべきもの〞どちらもあります。
それは当然のこと。どちらかではなく、どちらも、です。試合の目的は常に「勝つこと」ですから、どちらも組み合わせながら、勝つための方法を逆算して戦うのが〝サッカーをする〞ということだと思います。
それなのに、ある時期日本では「自分たちのサッカー」から〝相手〞が存在しなくなったように感じました。「自分たちのサッカー」が〝相手云々にかかわらず自分たちがやるべきこと〞だけになり、〝相手(あるいは試合の流れなど)によって変えるべきもの〞が排除されたようでした。
二つが二極化されて語られ、それを〝善か悪か〞で議論されているようにさえ見えました。そこには、国民性のようなものが影響しているところもあったと思いますが、それ以上に、日本サッカーにおいて、相手云々によって何が変わり、何が変わらないのか、が明確にされていないことが根底にある気がしました。
だからでしょう、「自分たちのサッカー」の対極の言葉として、「マリーシア」とか「駆け引き」とか「相手を見てサッカーをする」とか、そんな言葉がよく聞かれます。日本人が苦手とすると言われている部分です。しかし、実際にはこれらの全てが対極に位置しているわけではなく、むしろほとんどは同じところにあります。
「自分たちのサッカー」の中に「マリーシア」とか「駆け引き」などがあり、それは「相手を見てサッカーをする」ということですが、それらも含めたものが「自分たちのサッカー」で、対極には位置していません。
それなのに、言葉が一人歩きすると面白いことが起きました。「自分たちのサッカー」という言葉にみんなが振り回されて、日本全体が「相手を見なくていい」とか「駆け引きは必要ない」などと言っているようにさえ感じました。
カテゴリ別新着記事
ニュース
-
【FIFA U-17ワールドカップ カタール2025】U-17日本代表メンバー発表!2025.10.18
-
U-19日本女子代表候補 、国内トレーニングキャンプ参加メンバー発表!2025.10.17
-
なでしこジャパン(日本女子代表)、欧州での国際親善試合に臨むメンバー発表!2025.10.16
-
フットサル日本代表、国際親善試合(vsフットサルブラジル代表)に臨むメンバー発表!2025.10.08
フットボール最新ニュース
-
日本人選手所属ザルツブルクは後半AT弾で敗戦【25日結果まとめ/欧州EL】2024.05.21
-
ベティス、マンUから完全移籍の7番が劇的同点弾【24日結果まとめ/欧州EL】2024.05.21
-
バルセロナ、マンUから加入FWの活躍で強豪撃破【18日結果まとめ/欧州CL】2024.05.21
-
昨季王者PSGが4発快勝。白星スタート【17日結果まとめ/欧州CL】2024.05.21
-
アーセナルは交代策的中で白星【16日結果まとめ/欧州CL】2024.05.21
大会情報
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2025.03.07
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】フォトギャラリー2025.03.03
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】F.Cボノスが逆転勝利で優勝を果たす!<決勝レポート>2025.03.01
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2025.02.25
お知らせ
人気記事ランキング
- かつて“怪物”と呼ばれた少年。耳を傾けたい先人の言葉
- 関東トレセン女子U-15(前期) が開催!
- ポゼッションが目的ではない。バルサメソッドの創始者が語る「ロンド(鳥かご)」の本質
- 試合前には糖質中心の『単品料理』がオススメ。知っておきたい試合前の食事のとり方
- 【FIFA U-17ワールドカップ カタール2025】U-17日本代表メンバー発表!
- ゴールを決めるためにはコースが大事!! 正確なシュートを打つために参考にしたい練習動画
- 出場機会をどう生み出すか。「3ピリオド制」のメリットとデメリット【5月特集】
- 練習中にふざける高学年
- 2013年度ナショナルトレセンU-14 開催概要および参加メンバー発表
- 【第38回全日本少年サッカー大会】岡山県大会 決勝フォトレポート&大会結果「オオタフットボールクラブが10年ぶり3回目の優勝で、全国大会への切符を獲得!!」