一人の力では限界があるGKメンタルの向上。育むのは仲間とコーチの支えだ【5月特集】
2019年05月15日
育成/環境
【「GKは仲間がいてチャレンジが許される」というノグチピント・エリキソンさん】
GK視点でゴールを守ることとは?
――お話をうかがっていると、現状の日本では特にGKはメンタルと技術をしっかり見ながら指導しないといけないとすごく感じました。フィールドは攻守の切り替えが発生し、どうしても技術と戦術寄りな指導になるのが当たり前です。でも、GKはゴールを専門に守る特殊なポジションがゆえにメンタルが大きな要素を占めると私も長年取材してより強く思うようになりました。
ピント「GKは気を抜いてはいけないんです。現役時代、気を抜いてしまうのは負けと一緒だと思ってプレーしていました。例えば、MFは後ろにDFがいますし、DFもGKが後ろに控えています。つまり、リカバリーが効くポジションなんです。でも、GKは気を抜いてしまったら1点なので、メンタル的な気持ちの部分は非常に大事です。試合に勝ちたいのなら、本当に嫌われ役でいいんですよ。
むしろそういう態度でプレーしていたら、逆にみんなが本当に理解してくれるようになるんです。だって、きちんと仕事をして、真剣になってゴールを守ってくれている姿をずっと見ていれば、きっと後ろから怒っても許されるし、ゴールを任せられると思うんです。私からすると、優しすぎるGKのほうが不安です。
プロとしての経験、また少ない指導経験のなかでいろんな選手を見ていますが、そういう選手は伸びていないような気がします。そこは選手自身が打開していかないと伸びていかないのではないでしょうか。技術が高くても、精神的に穴があったら試合に出続けることは難しいと思います。波を感じますね。もちろん試合で気を張ったあとはリラックスすることが重要です。うまいリラックスの方法も探さないとバランスも取れません」
――「Bande GK Academy」代表の野口桂佑さんにも取材をしましたが、彼と話していて「ここが違う」と思ったのは、GKが思うチャレンジとフィールドの選手が思うチャレンジは大きく違うことです。フィールドの選手は失敗してもOKだけど、GKはそうではありません。チャレンジの意味が違うんです。
ピント「私は『ミスしても大丈夫だよ、切り替えて』という声かけが許される状況をいかに作り出すかを考えてプレーしていました。そうすると、フィールドの選手たちはチャレンジがしやすいんです。でも、そのなかでコミュニケーションをとりながら『俺が出たら裏をサポートね』と、特にコーナーキック時(セットプレー)などでは細かくやりとりをしていました。私のコーナーキックのやり方はニアポストに一人を配置するんですけど、その意味はショートコーナーの対応とニアポスト側への対応です。
つまり、GKはすべてのエリアをカバーできるわけではないので、しっかりと味方と連動しながら自分のプレーエリアを少しでも狭めて、そのエリアで100%の力を発揮できるようにシュートの可能性を消していく作業を行います。ゴールエリアのニアポスト側に二枚置くGKもいますが、その間でボールが蹴り込まれたときに遠慮しあう可能性もあるので、はっきりと一枚だけにしていました。もちろんニアサイドに出る可能性を100%消しているわけではありません。
でも、広いエリアのどこにボールが飛んでくるか分からない状況でチャレンジすることはとても難しいことです。私たちGKは少しでも味方に声をかけてうまくスペースを消して、他で100%に近いチャレンジができるような状況を作り出しているのです。私たちGKは仲間がいて、チャレンジが許されるんです。そういうことをせずにミスばかりするGKがチャレンジするのは、私はちょっと違うんじゃないかなって思います。逆にチャレンジしないほうがいい。自分が打開策を考え、その方法を味方と連携してコミュニケーションを取れないのであればチャレンジはしないほうがいいとも思います」
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