日本の子どもたちは「成長のピーク」が早い? となると、セレクション時期なども見直す必要があるのではないか

2019年08月23日

育成/環境

barca - tokyo

ジュニアユースのリーグ整備も課題の一つ

——ジュニアサッカーワールドチャレンジで数年前に東京都U-12がFCバルセロナ(以下、バルサ)に勝ちました。その大会では東京都U-12は何度か対戦しているのですが、前線からハイプレスをかけてバルサを相手に結構やれています。でも、それも年齢特性的な理由に背景としてあったのかもしれません。そのように成長のピークがどこにあるのかを数値化をしたとしても、心の成長もあります。体と心の折り合いがつかない時期が必ずあるじゃないですか。そこに対して、「じゃあ、考え方として例えば上の学年に上げるだけでいいのか」とか、下の学年でプレーすると言ったら変ですけど、一つ下のリーグに一回を繰り返して才能を取りこぼさないようにするのも一つの手だと思うんです。

 その子にとって「抜け」がないように育てているのかという部分も配慮が必要なのかな、と。

 特にジュニアユースのところでよく思うのは、U-13の子たちがU-15の試合にポンと出場している子も結構多いような気がするんですよ。でも一方で、中1中2中3を通して見た時に中1はチャレンジリーグがありますが、中2年代、いわゆるU-14の子たちはリーグがない地域もあります。じゃあ、そのU-14の子たちは上でU-15で出られなければ下のリーグでは出られないわけで、その仕組みも課題の一つとしてあったりすると思います。

悠紀「本当は下げられるのがベストだけど、結果主義を変えないと勝つために一つ下のカテゴリーに落とすチームが出てくるのかな、と。育成の主たる目的を勘違いしているチームにとっては、そういう危険性もあるんですよね。でも、育成のためのU-14リーグを作ることは必要だと考えています。何をしたいのか、リーグの目的を決めて、全部はできないから選ぶしかないと思います。

 ベルギーでは、U-15までは競争はさせないと聞いています。

 それよりも育成が目的です。「別にU-17からの競争でも問題ない」というのが彼らの考えだそうです。そして、そもそも勝ちたいというメンタリティは教えるものではないというスタンスだと説明されました。彼らは、サッカーが好きな子どもは別に何を教えなくても自然と1対1や目の前の勝負に勝とうとします。チームとしても、ランキングがなくても目の前の試合に勝とうとするし、勝ったら喜ぶし、負けたら悔しがるし、それが自然なんです。勝ち点に関わらなくとも問題ないというのがベルギーの育成関係者の意見です。でも、ドイツでは州によってこの様なトレンドを取り入れている州がありますけど、基本的に大半の人は『小さい頃から競争をさせないと、強いメンタリティは育まれないんじゃないの?』という意見もあります。

 そこに正解はないから、やはり何を求めるのか。

 それをきちんと納得されられるように発信すればいい。日本では、やはりJFAにしかリーグの決定や基本方針などは変えられないし、決められません。例えば、今はそれが全部JFAの責任になっていますが、それが都道府県協会であってもいいと思うんですよ。

 例えば、静岡がサッカー王国というのなら、『僕らは育成で行く』と県をあげて試してみてもいいのではないでしょうか。日本はボトムアップの国ではなく、トップダウンの傾向が強い国ですから。そういうことを地域発信でスタートしてもいいから、権力を握っている人たちがトップダウンでやっていかないとなかなか変わっていかないかな、と。トップダウンで何かをやった時に初めてそれが化学反応を起こして、またおもしろい方向に進むのかなとも思います」

——厳密に言うと、別に都道府県協会もJFAの傘下ではないんですけどね。だから、そのあたりが微妙な関係値、忖度的な関係を保ちつつあるというか。

悠紀「全く傘下にはないけど、方針は合わせることは多いわけじゃないですか。市や区の話で言えば、例えば神奈川県の『イーグルス』というドイツ学園のチームはJFAにもクラブ登録をしています。そして、神奈川県サッカー協会にもクラブとしては認められていますが、横浜市の大会にはなかなか参加が叶いません。『なぜ上の団体がOKしてるのに、何で下の団体がダメなの?』。ある意味、おもしろいなと思います」

——子どもを育てるということで考えると邪魔しているし、障害になっています。

悠紀「やっぱり大人が子どもの邪魔をしてはダメです。大人が作ったつまらない理由とか事情とかで成長を阻害してはダメです。子どもを守るための事情はしょうがないけど、大人のエゴで子どもにとって損になることはしたくないですよね。私もいろいろ言っていますが、自分では全然何も結果を出せていません。(Y.S.C.C.は)負けが続いているので、何の説得力もありませんが」


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<プロフィール>
シュタルフ悠紀リヒャルト
1984年8月4日生まれ、ドイツ・ボーフム出身。14歳で地元のサッカースクールでコーチのアルバイトを始めたことをきっかけに、プレーの傍ら、主に育成年代で20年間指導。現役引退後は自身が代表を務める会社が運営するレコスリーグの選抜チームである「レコスユナイテッド」やドイツのSVヴェルダー・ブレーメンと育成提携している「日独フットボール・アカデミー」で指導。2016年には世界各国の育成専門家が集うベルギーの育成コンサルティング企業「ダブルパス」と業務提携を結び、Jリーグ全54クラブの監査とコンサルティング業務に携わる。ドイツ・サッカー協会公認「A級(UEFA A級)ライセンス」、日本サッカー協会公認「S級ライセンス」を取得。2019年には「Y.S.C.C.横浜」(J3)トップチーム監督に就任し、日独フットボール・アカデミーでは育成ダイレクターを務める。


 

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