補欠問題、団子サッカー、8人制サッカー、ドリブルスクール…etc。ジュニアサッカー特有の現象はなぜ起こる?
2019年08月26日
育成/環境
子どもの意思を無理に制御しない
――前回のお話に出た『オールコートマンツーマン』などは、1試合の時間が短いジュニアだからこそできる戦術で、選手の将来にはなかなか結びつきにくいのかな、と思うのですが、いかがですか?
僕は、理にかなっている部分もあると思います。最近はボール保持だけは本当にうまい!みたいなチームが増えてきて、彼らに対して1トップが相手の数的優位なセンターバックを相手に一人だけ走らされるくらいなら「一人ひとりマークについちゃえよ」と伝えたほうがわかりやすいですし。それはプロでも同じですね。小学生のうちは「目の前の相手をやっつけることにこだわってください」というのも悪いことではないです。それにちゃんとマンマークできていれば、体力も使わないのかな、と。
――なるほど。逆に、低学年の試合ではいわゆる『団子サッカー』という全員がボールに集まってしまう現象も起きたりしますが、『団子サッカー』が起きる原理は、どこにあるのでしょうか。
それはボールにさわりたいからなのではないでしょうか。僕は、小1までは団子サッカーでもいいと思っています。小2くらいから少なくなって、しっかりサッカーをしてくるチームが多くなりますが、そこで形を導入しすぎるのも良くないな、と最近考えています。
相手は団子サッカー。一方こちらは組織的。相手FWが誰もいないのにDFが3人も後ろに残っている必要はありません。そうなるくらいだったら全員でごちゃごちゃしていたほうがいい。
それを解消するのも指導者の腕一つですが、団子サッカーを無理にやめさせることはしなくてもいいのかな、と。子どものボールに向かうという気持ちを大人が制御するのは、どちらかといえば反対です。
よく「(ボールに)飛び込むな!」と言いますが、本人に「飛び込む」意思があって飛び込んでいるのなら、オーケー。失敗を重ねてタイミングを覚えていけばいい。その意思を制御してまで、奪いに行く意欲を削いでしまうくらいなら、奪いに行く本能を優先させた方がいい。
ただそれで毎回負けるようであれば、チーム全体に気付かせてあげるのがコーチや保護者の仕事なのではないでしょうか。ドリブルもそうだと思います。一人で行けるのなら何回でも仕掛ければいい。でもそれをやっても毎回負けてしまうなら「手を変えるべきでしょ」と。そう言われれば、ほとんどの人がそれはそうだなと納得するのではないでしょうか。ゲームに勝つために試合をしているのはどの年代でも同じだと思うので。なので、試合に勝てなくなったときに団子サッカーから卒業していけば良いのではないかと最近は思っています。
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