「8人であっても11人であってもサッカーはサッカー」栃木SCが見せた11人制への適応/ワーチャレ取材日記②

2019年08月31日

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取材・文・写真●中村僚

ワールドチャレンジ 栃木SC

11人制のトレーニングをしているわけではない

「U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2019」の大会2日目。この日は全チームが1試合を戦い、グループステージのすべての試合が消化された。各グループの上位2チームが決勝トーナメントに進み、下位2チームは下位トーナメントへ回る。

 この日注目したのは、栃木SC U-12だ。広州恒大足球学校U-12、MONGO FOOTBALL、FC Antsと同居したグループFを、5得点0失点の3連勝で見事に突破した。

 昨日のレポートでも述べた通り、日本のチームの多くが11人制のフルコートピッチの大きさに戸惑う中、栃木SCはその大きさに順応しているように見えた。DFラインからビルドアップで組み立てていく基本方針は変わらないが、DFラインは横幅を目一杯使って広く使い、ボールを受けてから相手のプレスが来るまでの時間を作る。落ち着いてボールを持てるようになると、中盤で10番の臼井蒼悟が受けてドリブルやスルーパスでアクセントを作る。自陣深い位置で危険な場面になると、CBでキャプテンの野口慶が大きくクリアして回避。今大会に参加している日本のチームの中では、もっとも状況判断を適切に下しているチームだと感じた。

ワールドチャレンジ 栃木SC

 日本の小学生年代は、11人制ではなく8人制でサッカーを行う。そのため、11人制のフルコートでも同じ感覚でプレーすると、必然的に限られたエリアだけでのプレーになってしまい、他のチームはそこを突かれて失点を重ねていた。小学校から中学校へ上がる時には、この大きさに慣れることが大事になるのだろう。

 栃木SCの金澤祐介監督は、試合後にこう話してくれた。11人とフルコートに非常にうまく順応しているように見えたが、特別に大きなコートの練習はしていないという。

「8人であっても11人であってもサッカーはサッカーなので、特別に11人制のトレーニングをしているわけではありません。もちろん今大会の最初は大きさに戸惑った部分もありましたが、相手を見てどこにいればボールを受けられるのか、パスを出せるのか、相手が嫌がるのかは、共通していると思います。相手に対して自分たちはどのポジションを取るのか、空いているスペースがどこなのか、それをいつ使うのか、それをみんなで共通認識にできるように伝えています」

 順応のために大事なことのひとつは、距離感だという。とはいえ、それも具体的な正解があるわけではないようだ。

「ピッチ上の一人ひとりの距離感や塊の大きさは、8人制のままでは適切な大きさを確保することができないので、選手同士の距離は取った方がいいでしょう。そして、広がった選手間を通す強いパスが必要です。また、相手と相手の中間の位置も、11人制では変わりますから」

「ただその距離感も相手ありきです。ものすごくコンパクトなチームが相手であれば、ボールを受けたりチャンスを作れたりする距離を選手たちが自分で見つけて決断し、ポジションを取る必要があります。こちらから『〇〇mの位置にポジションを取れ』ということはまったく言っていないです」

 ところで、ドイツやスペインでも子どものうちは少人数の小さいコートでサッカーを行なっており、11人制の試合はそれほど多く経験していないはず。それでもバルセロナは圧倒的なサッカーを見せつけ、バイエルンも首位でグループステージ突破を決めた。彼らは少人数から11人への移行をどのようなステップで行なっているのだろうか? 次回は両チームの取り組みを取材したい。

ワールドチャレンジ 栃木SC

<関連リンク>
U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2019

 

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